Last Updated on 2021年3月19日 by 今井 靖之

介助犬を啓発するPR犬ダンクが引退、発達障害をもつ男の子のご家族へ譲渡

社会福祉法人日本介助犬協会は手足の不自由な方の手助けを行う介助犬の育成・普及活動を行っています。介助犬、そして介助犬とともに暮らす肢体不自由者は全国に57ペア(2020年10月現在)しかおらず、認知度が低いことが課題のひとつです。そこで協会では普及活動にも力を入れており、全国各地で開催される講演会やイベントの場にて介助犬のデモンストレーションを実施し、介助犬の役割や必要性を訴えています。そのような場で活躍するのが「PR犬」です。PR犬は介助犬として適正を見極めて訓練を受けていく過程の中で、介助犬ではなくPR犬としての素質があると判断された犬のことです。具体的には、人が大好きで、どんなところでも寝ることができ、初めて行く場所でも職員のハンドリングの元落ち着いてデモンストレーションができる犬が向いています。協会では現在8頭のPR犬が活躍しています。

そのPR犬の1頭だったダンク(6歳、オス)が2月に引退し、神奈川県横浜市にお住まいのOさんご家族へ譲渡されました。ダンクは2歳よりPR犬となり協会本部がある横浜市を拠点に活動していました。落としたものを拾う、携帯電話を探して持ってくるなどのデモンストレーションを行う他にも愛嬌のある性格でふれあいでは尾を振りながら自ら客に撫でてもらいに行くなど様々な場面で活躍していました。

協会本部には犬が過ごす犬舎はなく、その為、ダンクのようなPR犬を預かり、送迎などを協力する飼育ボランティアの存在が欠かせません。そのダンクを5年間預かっていたボランティアこそOさん。Oさんの長男Sくん(9歳)は発達障害があり、Sくんが通う市内の障害者施設に貼ってあったPR犬預かりボランティア募集のチラシを見てボランティアを始めました。ダンクと生活をしはじめた当時まだ4歳だったSくんは自分より大きいダンクのことを少し怖がっていましたが、次第に仲良くなり今では兄弟のように一緒に過ごしています。協会がPR犬を引退する年齢として定めた7歳が4月に迎えるにあたり、ダンクは引退し、Oさんの家族の一員として譲渡されました。

協会は「介助犬には向かない」と判断した犬たちを一般のご家庭に譲渡している他、障害児者のいるご家庭への犬のマッチング・譲渡にも”With Youプロジェクト“として積極的に取り組んでいます。2015年のプロジェクト開始以降、これまでに21頭の犬たちが障害児者のいるご家庭に、家族として迎えられています。

社会福祉法人 日本介助犬協会

代表者:伊藤 利之
所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-9 新横浜フジカビル301号室
URL:https://s-dog.jp

Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。