Last Updated on 2020年11月20日 by 菅間 大樹

「水の上は究極のバリアフリー」、障がいを感じさせない鍛え抜いたバランス感覚と高度な技術で、爽快に水の上を漕ぎ進む

競技概要

ボートとは異なり、選手は進行方向に向かって座ります。1艇に1人が乗り8艇が一斉にスタート、パドル(櫂)を使って漕ぎ進みタイムを競います。カヤック(KL)とヴァー(VL)は、艇とパドル(櫂)の形状が異なり、漕法も異なってきます。対象となるのは下半身や体幹に障がいのある選手で、公平な競技を行うため選手は障がいの程度や運動機能によって3つのクラスに分けられています。クラスは重いほうから順に、L1クラス(体幹の機能がなく胴体を動かすことが困難なため、肩と腕の機能だけで漕ぐ選手)、L2クラス(下肢で踏ん張ることが困難だが、胴体と腕を使って漕ぐことができる選手)、L3クラス(脚、胴体、腕を使い、踏ん張ることや腰を使う動作によって艇を操作できる選手)になります。カヤック部門はKL1、KL2、KL3、ヴァー部門はVL1、VL2、VL3と表されます。
障がいに応じて、ルールの範囲内でカヌーの座席(シート)部分やコックピット内部の改造をすることが認められています。例えば、体幹バランスをとることが困難な選手にとっては座席の改造が大きなポイントになります。素材や形状などを自身の障がいや体型に合わせて工夫し、座席と体を固定するためにベルトを取り付けるなどして姿勢を維持し、艇と一体化して漕げるようそれぞれ工夫しています。
また、ポリネシアの言葉で小舟を意味するヴァーでは、オリンピックのカヌー競技にはないパラカヌーだけのアウトリガー付きのカヌーレースを観戦することができます。

ルール

パドル(櫂)を使ってカヌーを漕ぎ、シンプルに速さを競う水上での短距離競争。
カヤック
艇は長さ5メートル20センチ、最小幅が50センチ、最小重量12キログラムの直進性に優れた形状のものを使用する。オリンピックで使用される艇と同じような形状。パドルは長さ2メートルほどで、水をとらえるブレードが両側についているタイプ。1本のパドルを持った選手が艇の左右を交互に漕ぎながら前進する。
ヴァー
艇は長さ7メートル30センチ以内、最小重量13キログラム(浮き具を含む)で、長いほど推進力がある。本体の左右どちらか片方に、バランスをとるためのアウトリガー(浮き具)が付いている。ヴァーで使用するパドルはカヤックとは異なり、片側にだけブレードが付いているものを使う。パドルで左右どちらか片方のみを漕ぎ進み、艇を直進させるためには高度な技術が必要となる。

種目

KL1 200m(男子/女子)
KL2 200m(男子/女子)
KL3 200m(男子/女子)
VL2 200m(男子/女子)
VL3 200m(男子)

対象障がい

肢体障がい

東京2020パラリンピック情報

日程:2021年9月2日(木)~9月4日(土)
会場:海の森水上競技場

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」
カヌーのルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。カヌーに詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。