Last Updated on 2023年8月2日 by 菅間 大樹

精神疾患との診断を受け退職を考えたときや退職勧奨を受けた場合など、「退職」という言葉と一緒に頭をよぎるのは、その後の生活に必要な「収入」ではないでしょうか?

生活費の心配がなければ、療養に専念したい方も多いでしょう。
療養に専念でき症状が改善されれば、転職など今後の暮らしについて考えることもできますね。

精神障害のある方が退職した場合、活用できる給付金や制度はあるのでしょうか?
療養しながら失業給付金などの受給はできるのでしょうか?

目次

  1. 精神障害で退職したときにもらえる手当や給付金
  2. 精神障害で退職してからでは遅い?退職前から知っておきたい制度
  3. 精神障害で退職したときに利用を検討したい制度や手当
  4. まとめ

1.精神障害で退職したときにもらえる手当や給付金

精神障害のある方が退職した場合と、精神障害ではない理由で退職した場合、対象となる給付金に違いはあるのでしょうか?精神障害のある方が退職した場合に考えられる給付金とその条件についてまとめてみました。

①退職金

まず退職と聞いて真っ先に思いつくのは「退職金」です。 ただし、退職金については原則以下のように定められているようです。

①退職金は、必ず支給しなければならない賃金ではない。
②労働基準法(第89条)では、退職金の定めをする場合には就業規則に記載しなければならないと定めているのみである。
③法律的には、会社の言い分どおり規定が無ければ退職金を貰えなくてもやむを得ない。


引用:東京都TOKYOはたらくネット

このように、必ず支給されるものではありません。しかし雇用されていた会社が定める場合は就業規則に条件など詳細を記載しているはずです。

就業規則は雇用されている者であれば閲覧できるもの。不明な点や質問などがあれば、人事部などの担当部署に詳細を確認すると良いですね。

②失業給付金(失業手当、雇用保険)

退職すると「失業手当」「失業保険をもらう」などという言葉を耳にします。これは、雇用保険の失業等給付制度にある基本手当のことをさしています。

基本手当は失業した人に対し支払われ、その額は雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)や年齢に応じて異なります。なお、基本手当は以下の3つの受給資格を満たした場合に支給されます。

①離職の日からさかのぼった一定期間に被保険者期間があること
②失業の状態にあること
③ハローワークに求職の申込をしていること


※被保険者期間を満たした状態とは、離職前2年間に、雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)が12ヶ月以上あった状態のことです。1ヶ月間のみなし方については、就業状態により異なるので、以下のサイトでご確認ください。

引用:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

精神障害があり退職した方の場合、①②の被保険者期間を満たし失業の状態にあったとしても、すぐには働けないのが現状でしょう。つまり③の求職を申込む状態という条件は難しくなります。

ただし、雇用保険の受給期間は原則退職した翌日から1年間ですが、病気やけがなどの理由で引き続き30日以上働けなくなった場合はその日数だけ受給期間を延長することができます。

延長できる期間は最大3年間で、この期間に働ける状態まで回復すれば雇用保険の失業給付を受けることができるのです。

なお、受給開始日は失業した理由により異なります。自己都合で退職した場合は、失業手当の申請手続きから1週間の待機期間後、さらに3ヶ月の給付制限期間があり、その期間が終わるまでは基本手当は給付されません。

しかし、精神障害など心身の障害、疾病が理由で離職した場合は「特定理由離職者」とみなされ、3ヶ月の給付制限期間は不要となることがあります。詳しくはハローワークで確認してみましょう。

③障害年金

障害年金には1級・2級・3級と種類があり、数字が小さいほど障害が重度になります。また支給される額は、国民年金加入者、厚生年金加入者で異なります。

相談先は、障害基礎年金の場合は市町村の年金課、障害厚生年金や障害共済年金の場合は年金事務所、または加入されている各共済組合になります。

障害年金については受給条件や申請方法が複雑であること、また後述する生活保護と同時受給できるかなど確認事項がたくさんありますので、ひとまず年金事務所や年金相談センター、みんなねっと(全国精神保健福祉会連合会)の中にある「みんなねっと相談室」などの窓口にて相談を行うのが望ましいでしょう。

参照:みんなねっと相談室(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会)

④生活保護

最後に生活保護についてです。受給するためには、現在所有している資産や預貯金、働ける状態かどうか、親族からの援助を受けられないか等の前提条件の確認があり、その上で国が定める基準額を下回る場合、支給の対象となります。また、障害年金の受給有無などの状況も確認され、認定されると対象となります。

生活保護の認定基準は確認事項が多く、状況により異なります。申請については、お住まいの市町村に確認してみましょう。

2.精神障害で退職してからでは遅い?退職前から知っておきたい制度

活用できる制度の中には、退職する前から受給していれば退職後も引き続き受給できる手当があります。つまり、退職後に申請することはできない制度です。詳しく見てみましょう。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。