仙台市協働事業『ほのぴあ』とは?医療的ケア児・重症心身障害児家族への包括的支援

『ほのぴあ』は、医療的ケア児・者、重症心身障害児・者のご家族が直面する「情報や人につながりにくい」という現実に対し、同じ立場や経験を持つ家族同士が支え合う「ピアサポート」を軸に支援を提供する事業です。制度や支援資源が整備されつつある一方で、個々の家族が必要な情報にたどり着けない、という課題を解決するために、多様な支援接点を具体化してきました。この事業は、仙台市健康福祉局 障害者支援課と社会福祉法人あいの実が、市民協働事業提案制度に基づいて実施しています。

『ほのぴあ』という名称は、「安全な入江」を意味する「ほのるる」と「仲間同士の支え合い」を意味する「ピアサポート」を組み合わせて名付けられました。その名の通り、家族にとって安心できる居場所となり、新たなつながりを生み出すことを目指しています。

令和7年度の活動報告:120件の相談と74回のオンライン配信、3回の対面交流

令和7年度の『ほのぴあ』は、相談120件、ライブ配信74回、対面交流イベント3回、新たなつながり31組という具体的な成果を創出しました。これらの活動は、家族が求める多様なニーズに応える形で展開されました。

オンライン発信で継続的な情報接点を形成

継続的にアクセスできる情報源として、ポータルサイトとInstagramを活用したオンライン発信が行われました。

  • ポータルサイト『ほのぴあ』
    ポータルサイト https://honopeer.ainomi.com/ を構築・公開し、継続的な情報発信を実施。2026年3月23日時点で、年度内に74回分のライブ配信を告知・実施しています。配信テーマは「みんなの工夫自慢」「将来、施設入所は?」「復職できた?仕事との両立」「きょうだいのこと、どう向き合ってる?」「NICU・病棟からの初めての退院」など、家族の実際の関心に即した内容が中心です。

オンライン発信のイラスト

  • Instagramアカウント「@hono.peer」
    https://www.instagram.com/hono.peer/ は、2026年3月27日時点で85投稿・439フォロワーとなり、日常的な情報接点として機能しています。

個別相談で複合的な生活課題に対応

年度合計120件の個別相談が実施され、対面、メール、DM、電話など、相談しやすい多様な方法が用意されました。提案時に設定された「あいの実とまだ接点のない家族36組へのリーチ目標」に対しては、2026年3月27日時点で31組に到達しています。流入経路は「知り合い」からの紹介が最も多いものの、「SNSを見て」27件、「ホームページを見て」5件、「チラシを見て」4件、「支援者から聞いて」5件など、口コミだけに依存しない多様な導線が形成されました。相談内容は医療的ケア、病院、学校、家族、利用中サービスなど多岐にわたり、制度案内だけでは解決しない生活課題に寄り添った支援が行われています。

対面交流『ほのぴあ・リアル』で家族同士のつながりを促進

対面交流イベント『ほのぴあ・リアル』は、令和7年度に3回企画・実施され、各回25名前後が参加しました。各回のテーマは以下の通りです。

  • 第1回「日常の困りごと」(2025年7月9日/泉区)
  • 第2回「就学って何を準備したらいい? 卒業後の生活ってどんな感じ?」(2025年10月29日/青葉区)
  • 第3回「“子どもに障害がある”と知ったとき…心が沈んだとき、悩んだとき、どうやって乗り越えてきたの?」(2026年1月28日/若林区)

これらの対面交流では、制度説明にとどまらず、生活の工夫、進学や卒業後の見通し、障害受容や気持ちの揺れなど、家族の実感に近いテーマが扱われました。

対面交流イベント『ほのぴあ・リアル』のポスター

参加者の声から見えた「安心できる場所」の重要性:ピアサポートがもたらす共感と勇気

『ほのぴあ』の活動は、参加者や支援者から多くの共感と感謝の声が寄せられています。特に「安心できる場所」としての役割が強調されています。

『ほのぴあ・リアル』参加者の声

  • 「すぐに共感し合えたので、皆さんと今日初めて会った気がしません」
  • 「毎晩、調べもので検索魔の日々だったところに、ほのぴあが現れました」
  • 「私だけがわからなくて悩んでいるわけじゃないんだと思いました」
  • 「ほのぴあに行けば〇〇さん(家族相談員)がいる。安心できる場所ができました」

オンラインでの反応

  • 「他の人のコメントを見るだけでも、『悩んでいるのは自分だけじゃないんだ』と勇気づけられます」

『ほのぴあ・リアル』に参加した支援者の声

  • 「障害受容について『気づいたら日常になっていた』という話が、とても印象的でした」
  • 「SNS等での発信が、会場に来られない誰かの救いにもなっていると実感しました」

これらの声は、『ほのぴあ』が単なる情報提供の場ではなく、家族が精神的な支えを見つけ、孤立感を解消できる重要なコミュニティとなっていることを示しています。ピアサポートの力によって、同じ経験を持つ人々が互いに共感し、次の一歩を踏み出す勇気を得られる場が提供されています。

令和8年度の展望:早期接続と支援導線の強化でさらなる支援を

『ほのぴあ』は、令和8年度も採択が決定しており、継続的な支援が期待されています。次年度は、以下の点が重点施策として進められる予定です。

  • 未就学期からの早期接続の強化
  • 支援者連携の強化
  • 相談・交流の入口拡充
  • 通知・相談ツールの最適化

令和7年度に形成された支援導線を土台に、より早い段階で家族が情報、人、支援につながれる環境づくりが進められます。これにより、医療的ケア児・者、重症心身障害児・者のご家族が、よりスムーズに、そして多角的にサポートを受けられる社会の実現が期待されます。

用語解説:障害福祉に関わる基本用語を理解する

  • 医療的ケア児・者:たんの吸引、経管栄養、人工呼吸器の管理など、日常生活の中で継続的な医療的ケアを必要とする子どもや大人を指します。
  • 重症心身障害児・者:重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複している人を指します。
  • ピアサポート:同じような立場や経験を持つ人同士が、経験や思いを共有しながら支え合う取り組みです。
  • 市民協働事業提案制度:地域課題の解決に向けて、市民活動団体や法人などの提案をもとに、市と提案団体が協働で事業を実施する仕組みです。

まとめ:仙台市『ほのぴあ』が示す障害福祉支援の新たな可能性

仙台市と社会福祉法人あいの実が協働する『ほのぴあ』事業は、医療的ケア児・者、重症心身障害児・者のご家族が抱える具体的な課題に対し、ピアサポートを核とした多角的な支援を提供し、大きな成果を上げています。オンラインとオフラインを組み合わせたきめ細やかなサポートは、多くの家族に「安心できる場所」と「新たなつながり」をもたらしました。令和8年度のさらなる展開にも注目が集まります。このような地域に根ざした取り組みが、障害福祉支援の新たな可能性を広げ、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献していくことでしょう。

【お問い合わせ先】
ほのぴあ事務局(社会福祉法人あいの実/カフェ・ドゥ・チルミル)
TEL:022-785-9440
MAIL:honopeer@ainomi.com


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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77