視線が描く「線」、学びの記録

本展示会の中心となるのは、『生活介護あいの実ブルーベリー』などの現場で生まれた、医療的ケア児・者の視線入力による作品群です。彼らが「わかった」「できた」と感じた瞬間が、線となり、色となり、一つの作品として形になります。言葉では伝えにくい内面が、アートという形で表現される貴重な機会となるでしょう。

3Dレンダリングされたモダンな展示会場の俯瞰図です。アート作品が並ぶ壁、透明な円筒形のオブジェ、多数のテーブルと椅子が配置され、数人の人物が見られます。

寄贈アートブックも特別展示

社会福祉法人あいの実が制作し、各地に寄贈してきたアートブック『Gaze Art Book』やその原画も特別に展示されます。作品が生まれた背景や制作の文脈を知ることで、鑑賞者はより深く作品の世界を理解し、感動を共有できるはずです。

白地のページが開かれた本が宙に浮いているような構図の画像です。左ページにはテキストがあり、右ページには青い背景にカラフルな飛沫が描かれた抽象的なアート作品が掲載されています。

アートブック『Gaze Art Book』については、以下のリンクから詳細を確認できます。

https://ainomi.com/gaze-art-book/

生活介護の現場で続く「学び」、機器に触れる体験

展示会場では、特別支援学校卒業後も「学び」を継続できる環境づくりを進める『生活介護あいの実ブルーベリー』の取り組みが紹介されます。医療的ケアや重症心身障害を持つ方々が利用するこの施設での学びの風景がパネルで展示されるほか、意思表出を支える視線入力装置やスイッチなどの支援機器(療育機器)の体験展示も行われます。

支援者や教育関係者にとっては運用のヒントを、一般来場者にとっては体験を通じた深い理解を得る機会となるでしょう。

マスクとニット帽を着用した男性が、ベッドに横たわる患者の傍らでノートパソコンを操作しています。医療現場か自宅での介護中にPCで作業をしている様子です。

厚生労働省モデル事業の一環として

本エキシビジョン『あいのきせきーずっとそこにいた、“私”をみつける学びの新領域』は、社会福祉法人あいの実が厚生労働省の「令和7年度 特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成事業」に採択されたことを受け、その事業成果の一端を公開するものです。この事業は、文部科学省が推進する「学校卒業後の障害者の学びの場づくり」とも理念を共有し、教育と福祉をつなぐ新たなモデルの確立と普及を目指しています。

開催概要

  • 会期: 2026年2月24日(火)10:00–20:00、2026年2月25日(水)10:00–16:00
  • 会場: せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
  • 所在地: 宮城県仙台市青葉区春日町2-1
  • 入場料: 無料
  • 主催: 社会福祉法人あいの実
  • 備考: 来場者全員に『Gaze Art Book』掲載作品のポストカードが進呈されます。

社会福祉法人あいの実について

社会福祉法人あいの実は、2021年に設立され、重症心身障害や医療的ケアを必要とする方々への生活介護、短期入所、居宅サービスなどの福祉事業を展開しています。地域に根ざした支援と、家族に寄り添う取り組みを続けています。

詳細は以下の公式サイトをご覧ください。

https://ainomi.com/

用語注釈

  • 生活介護: 日中に通い、介助や活動支援を受ける福祉サービス。
  • 生涯学習: 年齢や障害の有無を問わず学び続ける考え方。
  • 医療的ケア: 喀痰吸引、経管栄養など日常的に必要な支援。
  • 重症心身障害: 重い肢体不自由と重い知的障害が重なる状態。
  • 視線入力: 目の動きを読み取り、操作や描画につなげる入力方法。
  • スイッチ: 非常に微かな力での、押す、触れるなどの動作で意思を伝える入力装置。
  • 療育機器: 学習や意思表出を助ける支援機器の総称。
  • 厚労省生活介護利用モデル事業: 卒業後の学びを生活介護で継続するモデル事業。


Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77