大阪発「就労選択支援WithYou」が5ヶ月で16名の利用実績を公開!“支援選択の迷子”をなくす地域モデルと制度の課題に迫る

2025年10月1日より、障害のある方の就労をサポートする新たな障害福祉サービス「就労選択支援」が開始されました。大阪市に拠点を置く就労移行支援事業所WithYou(運営:株式会社WithYou)は、この制度の開始直後から運用を開始し、2025年10月から2026年2月までの5ヶ月間で、延べ16名がこの支援を利用したことを発表しました。

WithYouは、この新しい制度を活用し、「自分に合う支援(就労移行/A型/B型/一般就労準備など)がわからない」という“支援選択の迷子”を減らすための情報発信と地域モデルを構築。アセスメント(評価)と体験を通じて、一人ひとりに合った次の支援へとつなげる取り組みを進めています。

オフィスで4人が笑顔で立っている集合写真

就労選択支援とは?新たな制度の背景

就労選択支援は、障害のある方が自身の希望、能力、適性などに合った就労先や働き方をより良く選択できるよう、就労アセスメントを活用して支援する新制度です。大阪市でも2025年10月からの実施が案内されています。

しかし、この制度が導入される背景には、多くの人が「選ぶ段階」でつまずきを経験している現状があります。「B型しか無理だと思い込んでいた」「就労移行支援に行きたいが、そもそも続けられるか不安」「自分の強みや向き不向きがわからず、選べない」といった声が聞かれ、最初のミスマッチが通所断念や回復の遅れにつながるケースも少なくありません。

YouTubeサムネイル「就労選択支援開始 就労B型やA型に入れなくなる?」

「支援選択の迷子」を減らすWithYouの地域モデル

WithYouは、就労選択支援を単なる「入口」で終わらせず、その後の支援や就労に確実につなげるための地域モデルを標準化しています。このモデルは、制度理解の促進から相談、アセスメント、体験、そして進路提案までを一貫して運用するものです。

制度理解を地域に広げる取り組み

新制度は「知っている人だけが得をする」構造になりやすいため、WithYouは制度開始直後から、学校、家族、他の事業所へ向けた説明会やセミナーを継続的に開催しています。これにより、“相談が発生する場所”で制度への理解を深め、就労選択支援の利用へとつなげています。

会議や勉強会風景

標準化された運用フロー

WithYouの就労選択支援は、1ヶ月(最長2ヶ月)の短期集中型で、以下のフローで進行します。

  1. 初回面談: 困りごと、生活状況、希望条件の棚卸し。
  2. アセスメント(評価): 作業特性、対人負荷、体力、ストレス反応、配慮事項の整理。
  3. 体験(ミニ実務/体験利用): 環境と業務の相性を可視化。
  4. 合意形成(関係者連携): 本人、家族、関係機関と目標と条件のすり合わせ。
  5. 進路提案・接続: 就労移行/A型/B型などの“最短距離”へ接続。

このモデルは、WithYouのウェブサイトでも詳しく紹介されています。

女性がデスクでペンを持ちカメラを見つめるポートレート

就労選択支援が「思い込み」と「ミスマッチ」を減らした事例

WithYouでの就労選択支援では、「何ができるか分からない」「B型しか無理だと思っている」「就労移行に行きたいが続くか不安」といった、利用前の不安や思い込みを解消するケースが多く見られます。面談と作業体験を通じて、本人の強み、負荷、配慮事項を可視化し、最も成功確率が高い接続先を関係者と合意形成しながら整理しています。

オフィスで4人がデスクを囲み、資料を見ながら打ち合わせ

事例1:20代男性(高次脳機能障害・失語症)

当初は就労移行が難しいと見られていましたが、PC作業への集中力と学生時代の経験から、ネットショップ関連業務を目標とした就労移行支援への接続が実現しました。

事例2:20代男性(ASD)

就労移行を希望していましたが、アセスメントの結果、「自分で考えて作成」が苦手で「ずれを直す・戻す」行為が強みと判明。家族からの情報も踏まえ、現時点では就労移行ではなく、PC修理や小物・おもちゃ修理を行う就労継続支援A型・B型事業所への探索を進めることになりました。

事例3:30代女性(うつ・体力不安)

「B型しか行けない」と思い込んでいましたが、真面目さや正確性が強みであることから、事務適性が判明。就労継続支援A型(犬の保育園業務のある事業所)への申し込みや、体力回復後の就労移行支援も選択肢として保持する運びとなりました。

事例4:20代男性(ASD)

イラスト関連のB型を希望していましたが、就労選択支援を通じて障害者雇用の現状や制度を理解。生活リズムの課題を解決した上で、障害者雇用で挑戦したいという希望が生まれ、まずは希望分野に強い就労移行支援への接続となりました。

YouTubeで情報発信、相談導線を整備

WithYouは、就労選択支援制度の開始に合わせ、YouTubeでいち早く情報を発信しました。これにより、「制度は聞いたが、何をどう選べばいいかわからない」という層の相談を受け止める体制を構築しています。

今後も、制度情報の“わかりやすい翻訳”と、実際の選択支援の質向上を両輪で進めていくとのことです。障害のある方の就労支援は選択肢が増える一方で、“最初の選択”が難しくなっています。就労選択支援は、本人の希望と現実のギャップを埋め、納得感を持って次の一歩へ進むための重要な仕組みと言えるでしょう。

現状の制度に見える課題

就労選択支援はミスマッチを減らす重要な仕組みである一方で、現場からはいくつかの課題も指摘されています。

  1. 利用者の負担・心理的プレッシャーが増える懸念: 就労継続支援B型を希望する方にとって、就労選択支援(アセスメント)が“まず必要”になることで、「試験を受けるみたい」「色々評価される」といった不安や緊張につながる可能性があります。
  2. 短期間で結論を迫られる感覚: 制度上の期間は原則1ヶ月(最長2ヶ月)の短期設計であり、短期間で適性を見極め、進路を決めることへの焦りが生じやすい点が課題です。特に体調の波がある方や自己理解に時間がかかる方は、十分に検討する時間を確保しにくい可能性があります。
  3. 市町村など支給決定側での判断の難しさ: 就労選択支援では、一定の場合(例:就職経験がある方など)は、就労継続支援B型の利用希望であっても、就労選択支援の利用が「必須ではない」ケースがあります。しかし、この「就職経験の有無/就労経験の整理」は、支給決定を行う市町村の窓口側では客観的に確認・判断しづらい場面が起こり得ると考えられます。その結果、制度上は例外があっても、実務上は「判断がつかないため例外運用がしにくい/または統一的に判断できない」といった課題が生じ、就労選択支援を積極的に使い分ける意義が弱くなってしまう可能性も指摘されています。

まとめ

就労移行支援事業所WithYouの取り組みは、障害のある方が自身の可能性を最大限に引き出し、納得のいく就労へと進むための重要な一歩を示しています。新しい制度の運用を通じて見えてきた課題は、今後のより良い支援体制を構築するための貴重な知見となるでしょう。地域に根ざした支援と情報発信が、一人ひとりの「働きたい」を支える力となることが期待されます。


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findgood

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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