視覚に依存しない新たな映像表現!全盲クリエイターと生成AIが織りなすMV
『The Unseen Beauty』プロジェクトの初作品として公開されたのは、SARUKANIの楽曲『CROWN』にアレンジを加えたオリジナル楽曲『CROWN(Water Remix)』のミュージックビデオです。このMVは、視覚障害を持つ4名の監督が音から受け取ったイメージを基にストーリーラインを構築し、生成AIを活用して映像化されました。視覚に依存しない知覚や感覚を起点とした、これまでにないクリエイティビティが発揮されています。
作品のコンセプトは「水」。形を持たず、壊れ、混ざり、循環しながら存在を続ける水を通して、人の感情と存在のあり方が描かれています。音の解釈から立ち上るイメージが、景色や物語を再現するのではなく、新たな表現として具現化されました。
生成AIが拓くクリエイティブの可能性:視覚障害者の感性を映像に
株式会社ePARAは、「eスポーツを通じて障害の有無に関わらず誰もが自分らしく挑戦し、社会とつながる機会を創出する」ことをミッションとしています。これまでの活動を通じて、人が世界を感じ取る方法は多様であり、さまざまな知覚や感性から表現が生まれうることを実感してきました。この経験が、「視覚に依存せず、知覚や感覚を起点として映像を制作することによって、新たなクリエイティビティが発揮されるのでは」という仮説につながり、本プロジェクトが始動しました。
制作には、生成AIクリエイターの宮城明弘氏と、脚本家・映像監督の廣田純平氏がパートナーとして参画。宮城氏は「彼らが本当に頭で思い描いているものに近づけたい」と語り、参加者一人ひとりの感性やイメージに寄り添いながら制作が進められました。廣田氏は「(参加者の)音を言語化する表現がすごく繊細だと感じた」と話し、その多様な感性が作品に内包されています。
監督の一人である真しろ氏は、「全員が違うカメラを持っている」と述べ、それぞれの感覚や視点の違いを表現として昇華させました。楽曲から立ち上がるイメージを各参加者がそれぞれの言葉で言語化し、その違いを生かして映像として構成することで、視点の多様性が作品に奥行きを与えています。
SARUKANIも共鳴!「音から世界を構築する」挑戦
本プロジェクトに共感し、コラボレーションが実現したのが、楽器を使わず「声」のみで独自の音楽表現を切り拓いてきたヒューマンビートボックスクルーSARUKANIです。彼らは、「ビートボックスという“身体から生まれる音”で音楽を作る自分たちにとって、『見えないものをどう感じ、どう表現するか』というテーマは本質的でもあり、新たな視点を得られる機会だと感じた」と語り、音から世界を構築するというアプローチに強く共鳴しました。
SARUKANIは、このRemixで「目に見えるものだけがすべてではない」というテーマのもと、水のように形を持たず、しかし確かに存在する“感覚”を音で表現しています。原曲『CROWN』が持つ力強さや意志はそのままに、より内面的で没入感のあるサウンドへと再構築されました。彼らは「目を閉じて聴くことで、普段とは違う景色が浮かび上がるはず」と、音を通して見えないものを感じる体験を呼びかけています。
参加監督の声:生成AIがもたらす新たな表現の自由
今回のプロジェクトに参加した4名の視覚障害者監督からは、生成AIを活用した映像制作に対する喜びや、新たな可能性への期待が語られています。
- 北村 直也 氏(eスポーツプレイヤー/エンジニア/ナレーター)
「映像制作に興味はありましたが、技術も確認する術もなく、これまでは諦めていました。しかし今回、AIという言葉を起点に映像化できる手段を得て、『こういう関わり方もあるんだ』と知ることができ、とてもうれしかったです。この作品を見た方には、視覚障害という枠を抜きにして、純粋に映像を見てどう思ったか、生の感想を聞きたいです。」 - 西脇 有希 氏(声楽・音楽活動)
「見えない状況で映像を作るのは初めてでしたが、音から捉えた感覚が形になる面白さを改めて実感しました。かつては『音イコール怖い』と感じることもありましたが、今はキャベツを刻む音から別の光景を連想するように、音から広がるイメージを素直に楽しめています。『見えない人はこうだ』という先入観を一度捨てて、まっさらな状態で見てほしい。多数派に合わせなくていい、当てはまらなくていいのだと感じるきっかけになれば嬉しいです。」 - 真しろ 氏(海外広報/eスポーツプレイヤー/クリエイター)
「映像制作に関われることが率直に嬉しかったです。生成AIは、視覚的な部分で一緒に動いてくれる相棒のような存在だと思っています。今回は楽曲を言語化する際、全員が違う耳やカメラ(視点)を持っているのだから、自分の感性でやってみようと臨みました。この作品は、正解を決めず、どちら側でもない『境界にいるものたち』への一つの救いになっているんじゃないかと思っています。複雑なルートを行き来して作られた映像の中を、心の中で泳ぎ回りながら楽しんでほしいです。」
ドキュメンタリーも公開中!制作の裏側とクリエイターたちの想い
今回のミュージックビデオだけでなく、本プロジェクトの制作過程を追ったドキュメンタリームービーも公開されています。視覚障害のある参加者が映像制作に取り組む過程や試行錯誤の様子が記録されており、作品がどのように形づくられていったのか、その背景にあるクリエイターたちの熱い想いを感じることができます。
株式会社ePARAは、本プロジェクトを通じて、視覚に依存しない感性を起点としたクリエイティビティが、新たな価値として社会に広がっていくことを願っています。障害のある人の能力が発揮される機会を創出し、一人の挑戦を次の挑戦へとつなぐ“挑戦の連鎖(コンボ)”を生み出すことで、より多くの人が自分の意思で自らの可能性を広げていくことができる社会の実現を目指しています。
プロジェクト概要と作品情報
1.MUSIC VIDEO:SARUKANI『CROWN』
- タイトル: 「CROWN(Water Remix)」
- アーティスト: SARUKANI
- 映像監督: 北村 直也・関場 理生・西脇 有希・真しろ(ePARA)
- コンセプト: 水の変化を通して、人の感情と存在のあり方を描く。
- ミュージックビデオ:
https://youtu.be/PtCzVhUE75s - 楽曲配信リンク:
https://orcd.co/crown_waterremix
2.PROJECT MOVIE
本プロジェクトにおける制作の様子やプロセスを記録したドキュメンタリー。
- The Unseen Beauty 特設サイト:
https://epara.co.jp/unseen_beauty/ - YouTube:
https://www.youtube.com/watch?v=3EY8uuF5WVo
株式会社ePARAについて:障害当事者の可能性を広げる活動
株式会社ePARAは、「個性を発掘し、未来をつくる。」をミッションに掲げ、障害の有無に関わらず誰もが活躍できる社会の実現を目指す企業です。バリアフリーeスポーツの企画・運営や就労支援、企業・団体との共創事業を展開し、障害当事者が自分らしく活躍する機会の創出に取り組んでいます。
これまでの活動には、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのePARA社員・Jeni氏が顎で操作する自作コントローラーを用いて国内外の格闘ゲーム大会へ挑戦する「LIFE IS 1CREDIT」や、全盲のメンバーが主体となりイベント企画やゲームのサウンドアクセシビリティ監修を行う「心眼」などがあります。これらのプロジェクトを通じて、当事者が主体となる活動を推進し、その可能性を社会に発信しています。
ePARAの企業メッセージは「挑戦の、連鎖(コンボ)を決めろ。」。本プロジェクトも、障害のある人々の新たな挑戦を後押しし、社会全体に多様な価値観とクリエイティビティを広げる一歩となるでしょう。



