支援職の光と影:8割がやりがい、9割が限界を感じる
今回の調査は、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援などの業務に携わる110名を対象に行われました。その結果、回答者の82.8%が現在の業務に「やりがいを感じている」と答え、その理由として「本人や家族からの感謝の言葉を直接受け取れるから」(50%)が最も多く挙げられました。社会的に意義のある仕事だと感じている支援職の熱意がうかがえます。

しかし、その裏側には深刻な課題も存在します。約9割(88.1%)の支援職が「支援の限界を感じた経験がある」と回答しており、そのうち41.8%が「何度もある」と答えています。これは、多くの支援者が日常的に高い壁に直面していることを示しています。

孤独な葛藤:「自分の至らなさ」を責める傾向
支援がうまくいかなかった時、支援職の42%が「自分の支援方法が間違っていたと感じた」と回答し、37%が「自分の経験や思いやりが足りないと感じた」と答えています。この結果は、多くの支援者が問題の要因を外部環境ではなく、自分自身のスキルや資質に求めてしまう傾向があることを示唆しています。こうした自己を責める傾向は、支援者自身のメンタルヘルス悪化や離職にも繋がりかねない、社会全体で考えるべき重要な課題です。

より良い支援を行うために必要だとされているのは、「適切な人員配置と業務時間の確保」(37%)と、「支援について相談できる専門家や上司」(36%)が上位に挙げられました。支援者の熱意や善意だけに頼るのではなく、組織的なサポート体制の重要性が浮き彫りになっています。

科学的技術による支援の「仕組み化」が鍵
株式会社スタートラインの障害者雇用エバンジェリストである吉田瑛史氏は、今回の調査結果を受け、支援を個人の資質や経験則に頼るのではなく、科学的根拠に基づいた技術として確立することの重要性を強調しています。

例えば、応用行動分析学(ABA)などの科学的な枠組みを用いることで、支援がうまくいかない理由を「個人の能力」の問題ではなく、「アセスメント(客観的な現状分析)の不足」や「アプローチ手法の不適合」として整理できると述べられています。これにより、支援者は「やり方が合っていないから、別の方法を試そう」と論理的に思考を切り替え、不要な自責から解放され、前向きに次のアクションへ踏み出すことができるでしょう。
支援のプロセスを「仕組み化」することは、決して現場を冷徹にするものではありません。むしろ、根拠を持って試行錯誤できる環境が、支援者の自己効力感を高め、結果として障害特性や個々のニーズに最適な支援に繋がると考えられます。
まとめ
今回の調査から、障害者就業支援職の方々が高い志を持ちながらも、支援の難しさに直面し、時に孤独な葛藤を抱えている実態が明らかになりました。個人の善意に頼るだけでなく、科学的な知見に基づいた支援技術の導入や、相談できる専門家の存在、適切な人員配置といった組織的なサポートが、支援者が長く安心して働き、より質の高い支援を提供していく上で不可欠です。誰もが自分らしく生きる社会を目指すためには、支援者自身が支えられ、成長できる環境を整えることが、何よりも大切だと言えるでしょう。
関連情報
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障害者の法定雇用率2.7%「達成困難」が60%に。採用難を突破する鍵は「職域開拓」と「定着フォロー」の仕組み化: https://start-line.jp/news/survey-release0115/
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調査概要
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調査対象: 現在障害者就業支援業務に従事している方110名
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調査方法: IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
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調査期間: 2026年1月7日〜同年1月7日
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
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株式会社スタートラインについて
株式会社スタートラインは、「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」を企業理念に掲げ、2009年の創業以来、障害者雇用支援の分野で活動しています。ABA(応用行動分析)やCBS(文脈的行動科学)に基づいた専門的な支援を通じて、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までをワンストップで提供しています。サポート付きサテライトオフィス「INCLU」の運営をはじめ、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス「BYSN」など、多様なサービスを展開し、一つでも多くの選択肢をつくり、誰もが自分らしく生きる社会を目指しています。



