難聴者の生活を支える新サービス「ほちょうきカー」が誕生

補聴器フォーラム東海実行委員会、MONET Technologies株式会社、損害保険ジャパン株式会社、株式会社ATグループの4者が連携し、補聴器の効果測定が可能な車両「ほちょうきカー」を開発しました。

難聴は高齢者の交通事故リスクを高めるだけでなく、認知機能の低下とも関連があるとされています。Lancet認知症予防・介入・ケアに関する国際委員会2024年レポートでは、難聴が最大の修正可能なリスク要因として評価され、補聴器の使用が認知機能維持に有効であることが明らかになってきました。

しかし、補聴器を満足して活用するためには、適切なフィッティングが不可欠です。残念ながら、そのフィッティングに欠かせない音場検査環境を備える耳鼻咽喉科クリニックや補聴器販売店は、全国的に充実しているとは言えない状況です。

こうした課題に対応するため、「ほちょうきカー」は、難聴を抱える方々がより身近な場所で、専門的な補聴器サービスを受けられる未来を目指しています。

「ほちょうきカー」の機能と特徴

「ほちょうきカー」は、トヨタ自動車株式会社の「ハイエース」をベースに設計されています。車両内部には高度な防音・音響設計が施されており、補聴器の効果測定に必要な音の反響を抑えた環境が整えられています。これにより、場所を選ばずに正確な測定が可能です。

この移動可能な特性を活かし、山間部や離島の医療施設や介護施設、さらには患者さんの自宅付近など、これまで専門サービスへのアクセスが難しかったさまざまなエリアへ出向くことができます。

提供されるサービスと実証実験

「ほちょうきカー」では、言語聴覚士や認定補聴器技能者が乗車し、車両内で正確な聴力測定や補聴器の効果測定、そして適切なフィッティングを提供します。さらに、医療機関にいる医師とオンラインで接続することで、遠隔診療も可能となり、より包括的なサポートが期待されます。

この新しいサービスの実現に向け、2026年度からは東海地区および首都圏の医療機関や認定補聴器販売店、そして損保ジャパンのグループ会社であるSOMPOケアといった介護サービス提供者と連携し、実証実験が開始されます。補聴器医療相談会などのイベント開催も検討されており、地域社会への貢献が期待されます。

開発に携わる各社・団体の役割

この革新的な取り組みは、各社・団体の専門知識と協力によって支えられています。

  • 補聴器フォーラム東海実行委員会: 車両開発における監修と、医療関係者や補聴器関係者への情報提供を担当しています。

  • MONET Technologies株式会社、損害保険ジャパン株式会社: 医療MaaS事業に関する知見の提供、車両架装、プロジェクトの推進、リスクマネジメント、実証フィールドの提供を行っています。

  • 株式会社ATグループ: 車両の提供と、地域ネットワークの構築支援を担っています。

難聴者の豊かな未来へ向けて

「ほちょうきカー」の開発は、補聴器を必要とする難聴者の方々が、より快適に補聴器を利用し、生活の質を向上させるための一歩となるでしょう。難聴による認知症リスクの低減にも貢献し、誰もが活動的で豊かな毎日を送れる社会の実現に向けて、この取り組みの進展が期待されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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