株式会社JTB総合研究所とAccessible Japanは、海外在住の障害を持つ方々を対象に「海外在住障害者の日本ユニバーサルツーリズム認識調査」を実施しました。
約7割が日本の歴史的建造物へのアクセスに不安を抱く一方、8割以上が日本人の親切さを高く評価。アクセシブル・ルームの不足や観光地の足場の悪さなど、具体的な改善点も明らかに。
調査には35か国・地域から221名が参加し、その結果、約7割が日本の寺院や庭園などへの車いすアクセスに懸念を示していることが判明しました。また、宿泊施設におけるアクセシブル・ルームの不足や観光地の足場の悪さも問題視されています。一方、訪日経験者の8割以上が日本人の親切さやトイレの清潔さを高く評価し、日本のおもてなしが好印象を与えていることが明らかになりました。
回答者の居住国はアメリカが43.4%と最多で、次いでオーストラリア(13.1%)、イギリス(11.3%)が続きます。障害の種類では、手動式車いす利用者が43.0%、電動車いす利用者が42.1%とほぼ同数で、電動車いすの充電設備や大型車いすへの対応が求められています。また、難病を抱える方も22.2%おり、幅広い障害への対応が必要とされています。
普段の外出で求める配慮として、「アクセシブルな乗り物」が80.5%、「アクセシブルな観光地や施設の情報」が76.9%、「バリアフリートイレ」が73.3%という結果となりました。物理的な設備だけでなく、情報提供の重要性も浮き彫りになっています。
日本のアクセシビリティに関するイメージでは、「日本の寺や庭など、車いすで行けないところが多い」が67.0%、「ホテルやレストラン、店などのスペースが狭い」が55.2%という懸念が示されました。また、「日本はアクセシブル・ツーリズムが進んでいない」と感じる人も47.1%に上り、日本の建築様式や施設の狭さが障壁となっていることが分かります。
訪日経験者からは、「宿泊施設にアクセシブル・ルームが少ない」が50.0%、「観光地の足場が悪い」が40.5%といった困難が指摘されました。一方、「親切にしてくれる人が多かった」、「トイレが使いやすい」、「電車利用時に駅員が手助けしてくれる」といったポジティブな評価も多く、日本の公共交通機関やサービスが一定の評価を得ています。
アクセシブル・ツーリズムが進んでいる国としては、アメリカやイギリスが多く挙げられ、その理由として「法律が整備されている」という意見が目立ちました。日本における法規制の遅れや不十分さが課題として浮き彫りになっています。
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