KAiGO × 金融 × スタートアップの連携による社会課題解決

セッションのテーマは「KAiGO × 金融 × スタートアップ」でした。杉浦氏は、高齢者の転倒による骨折リスク低減を目指して開発された『ころやわ®』の導入事例を共有するとともに、スタートアップと金融機関が連携することで、医療・介護分野が抱える社会課題の解決を加速させる可能性について議論しました。この登壇は、『ころやわ®』がKAiGO DESIGN AWARD 2025で最優秀賞を受賞したことを契機に実現したものです。

International KAiGO Festivalについて

「International KAiGO Festival」は、人生100年時代・超高齢社会において、人々が自分らしさを保ちながら生き続け、その力が社会の中で循環する社会の実現を目指すイベントです。介護を中心にポジティブ・ライフを創出するプレイヤーが集結し、経済と社会を結びつける新しいエコシステムを共創するプラットフォームとして機能しています。スタートアップ、企業、投資家、政策立案者、現場の介護職が一堂に会し、KAiGOプレナーシップ(介護から未来を切り拓く起業家精神)のもと、新しい発想を社会実装へとつなげる場となっています。

KAiGO DESIGN AWARDが目指すもの

KAiGO DESIGN AWARDは、高齢化を「脅威」や「負担」としてではなく「可能性」と捉え、介護の未来を変革するモノ・コト・アイデアに光を当てる取り組みです。「プロダクトデザイン部門」「ビジネスアイデア部門」「AI部門」「クリエイティブコンテンツ部門」の4つの部門で、介護・福祉の未来を切り拓く情熱を募集しています。

2026年のアワードは、一般社団法人KAiGO PRiDEと、シニアケア/介護を応援する店舗や情報サイトを展開するMySCUE(from AEON)との共同開催です。MySCUEが重視する「生活者のケア視点」と、KAiGO PRiDEが掲げる「介護の誇りとデザインの力」を融合させることで、ケアを負担から価値へ、個人の課題から社会の可能性へと変えていくことを目指しています。

『ころやわ®』は、転倒時の骨折リスクを低減する衝撃吸収フロア&マットとして、介護現場の安全性向上に貢献する点や、医療・福祉現場のニーズに基づいたデザインが高く評価され、2025年にプロダクトデザイン部門で最優秀賞を受賞しました。

MySCUEでの展示と体験機会

KAiGO DESIGN AWARD 2026の開催者の一つであるMySCUEは、イオンリテールが展開するシニアケア事業です。「見る・知る・話せる シニアケア・ステーション」をコンセプトに、ケアラーや高齢者の生活を支える商品・サービスを提供しています。『ころやわ®』シリーズはMySCUEの店舗でも展示されており、実際に製品を体験できる機会が設けられています。

衝撃吸収フロア&マット『ころやわ®』について

『ころやわ®』は、高齢者の転倒による大腿骨骨折などの怪我のリスクを低減することを目的に開発された特殊構造の衝撃吸収フロア&マットです。病院や特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの介護施設を中心に1,000以上の施設に導入されており、好評を得ています。また、法人向け緩衝マット・クッションカテゴリにおいて、2025年の年間販売数でシェア1位(78%)を達成しました。この実績は、全国約2000社を対象に販売する大手卸販売X社のカタログ販売実績に基づいています。

Magic Shieldsは、『ころやわ®』を通じて転倒骨折を防ぐことで、増加傾向にある医療費や介護費の削減、医療現場の人手不足や労働環境の改善にも役立つと考えています。致命的な転倒骨折リスクを低減するため、製品開発・改善に今後も力を入れていく方針です。

株式会社Magic Shieldsについて

株式会社Magic Shieldsは2019年に設立され、自動車工学と医学を基盤に新素材と構造「メカニカル・メタマテリアル」の研究開発、および製造・販売を行うスタートアップ企業です。世界で増加する高齢者の転倒による骨折を減らすことを目指し、転んだ時だけ柔らかい「可変剛性構造体」を用いた、これまで困難とされてきた「歩行安定性」と「衝撃吸収性」の両方を兼ね備える床材『ころやわ®』を開発しました。医療機関や福祉施設、一部在宅向けに提供されており、すでに導入施設は1,000施設を超えています。特に、医療安全対策委員会の設置が多い500床以上の病院施設では、全病院の4分の1以上(28%)が『ころやわ®』を導入していることが明らかになっています(2025年7月16日時点)。これは、厳しい医療安全対策のプロにも評価されていることを示しています。

「すべての人が骨折を気にすることなく、自分の意思で自由に動ける」社会の実現を目指し、転倒にまつわる課題を独創的な技術と革新的な仕組みで解決することをミッションとしています。

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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77