統合失調症は、日々の生活の中で突然、妄想や幻覚などの症状が現れることがあります。また、それを自分で自覚するのが難しいともされています。

多くの方は、専門の医師に相談しながら治療を進めていることと思います。症状によっては治療をしながら仕事を見つけようされている方もいるでしょう。

しかし仕事探しとなると、「症状が急にあらわれたらどうしよう…」「人とのコミュニケーションが苦手だけれど大丈夫かな…」「そもそも就職や職場復帰できるんだろうか…」などといった心配や不安が募る方も多いのではないでしょうか?

そのようなときは、同じ障害を抱えている方の声に耳を傾けてみましょう。
統合失調症の方へのアンケートを通し、お仕事に対するリアルな体験談が届きました。
「どうやって転職活動を行ったのか」「実際に仕事している中でどのような工夫をしているのか」など参考になるポイントがたくさんあります。

そして、実際に統合失調症の方が働きやすいと感じた企業や業種も紹介します。ぜひ、復職や転職活動の参考にしてみてください。

目次

  1. 統合失調症とは
  2. 統合失調症の方が経験した仕事での悩み
  3. 続けられる仕事に必要なこととは
  4. 求人の見つけ方
  5. 気になる企業の情報を得よう
  6. 統合失調症と付き合いながらでも働きやすい企業
  7. 統合失調症であることは伝えるべきか
  8. 知っておきたい面接のポイント
  9. 入社後に心がけたこと
  10. 最後に

1.統合失調症とは

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)という特徴を併せもっています。
多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。
統合失調症の原因は、今のところ明らかではありません。進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化が、発症の契機となることが多いようです。 ただ、それらは発症のきっかけではあっても、原因ではないと考えられています。
~中略~
様々な研究結果を総合すると、統合失調症の原因には素因(素因:おおもとの原因)と環境の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。素因の影響がずいぶん大きいと感じるかもしれませんが、この値は高血圧や糖尿病に近いものですので、頻度の多い慢性的な病気に共通する値のようです。子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症するのは約10%にすぎません。
【症状について】
統合失調症の症状は多彩なため、全体を理解するのが難しいのですが、ここでは幻覚・妄想、生活の障害、病識の障害の3つにまとめてみます。
幻覚と妄想は、統合失調症の代表的な症状です。統合失調症の幻覚や妄想には一定の特徴があります。幻覚と妄想をまとめて「陽性症状」と呼ぶことがあります。
【幻覚とは】 ・幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚、つまり誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴(幻声)です。
周りの人からは、幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったり(空笑)、幻聴との対話でブツブツ言ったりする(独語)と見えるため奇妙だと思われ、その苦しさを理解してもらいにくいことがあります。
【妄想とは】 ・妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。
【幻覚と妄想の2つの特徴】 統合失調症の幻覚や妄想には、2つの特徴があります。その特徴を知ると、幻覚や妄想に苦しむ気持ちが理解しやすくなります。
第1は、内容の特徴です。幻覚や妄想の主は他人で、その他人が自分に対して悪い働きかけをしてきます。つまり人間関係が主題となっています。その内容は、大切に考えていること、劣等感を抱いていることなど、本人の価値感や関心と関連していることが多いようです。このように幻覚や妄想の内容は、もともとは本人の気持ちや考えに由来するものです。
第2は、気分に及ぼす影響です。幻覚や妄想の多くは、患者さんにとっては真実のことと体験され、不安で恐ろしい気分を引き起こします。無視したり、ほうっておくことができず、いやおうなくその世界に引きずりこまれるように感じます。場合によっては、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまう場合もあります。「本当の声ではない」「正しい考えではない」と説明されても、なかなか信じられません。

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

統合失調症は、症状が現れるだけでなく、自分でもその状態に気づきにくい、また周りにも理解されづらいという特徴があるようです。

では、まず統合失調症の方の具体的な悩みを見てみましょう。

2.統合失調症の方が経験した仕事での悩み

2-1 突然現れる幻覚や妄想

統合失調症のが仕事をする際にぶつかる壁や、辛いと感じるポイントは具体的にどんな点なのでしょうか。


「幻覚と妄想が顕著に現れ、現実との区別がつかなくなる為、円滑なコミュニケーションが非常に難しい。」
「集中力が高く、記憶力に優れていましたが、朝早く起きられないことが多く休んでしまうことも多かったです。」
「人間関係がうまくいかないので、医者からはひとりでやる仕事をやれと言われています。 また、長時間労働が禁止されているのでなかなか仕事が見つからないです。」

病状が及ぼす影響、周囲の目、人間関係に関する悩みの声が上がっています。もしかしたら同じ悩みに苦しんでいる方もいらっしゃるかもしれません。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。