【内容情報】(出版社より)

70年以上にわたり臨床家として生涯現役を全うした希有な精神科医,西園昌久が該博な知識と臨床経験を基に聴衆に語りかける講演録。本書は,著者の考えるSSTの要諦と実践応用の工夫,そして精神医療全般についての記念碑的著作であり,SSTを通じてクライエントの生きる力を援助する,そのための基本技術と心構えを易しく解説したものである。

 本書には,①SSTは相手と向き合い・受け止め・信頼関係を築くことが基本,②母子関係・父子関係を踏まえた育ち方を考える,③仲間に受け入れられ認められることを通じて人は成長する,④正のフィードバックは,人の微妙な気持ち-親密・不可侵と対人不安を理解する,⑤SSTだけで勝負せず「良い統合失調症治療の四つの条件」を視野において実施するなど,臨床実践の要諦がちりばめられている(安西信雄「読者のために私がお勧めしたい,本書の読み方・読みどころ」より)

 SSTという効果的な技術力を駆使して,クライエントが現実の生活に役立つものの考え方と行動を身につける手助けをする際の,優れた援助者になるための必読書である。

目次
まえがき—SST普及協会の発足にあたって
序/丹羽真一
読者のために私がお勧めしたい,本書の読み方・読みどころ/安西信雄
1.わが国におけるSST発展への期待
2.精神医療の動向とSSTの役割
3.統合失調症とSSTの治療要因・効果について
4.日常生活育能力とSST
5.患者がSSTで体験すること
6.集団としてのSST
7.SSTを普及させる土壌づくり
8.長期入院患者の社会復帰のためのSST
9.個人的ケアと集団過程の間—SSTとスポーツ療法・ロールプレイ
10.精神保健従事者としての基本的対人コミュニケーション技能
11.統合失調症者の不安とコミュニケーション
12.社会復帰力とSST
13.社会復帰要因としての関係性を築くこととSST
14.道具としての言葉の不完全性—SSTへの期待
15.当事者と家族の苦悩と不安への治療的かかわり
16.再発防止とSST
17.治療関係者などのスキルアップとSST
18.生きる力をいかに支えるか
19.SSTと心の内なる変化
20.喪失からの回復,そして自己実現にいかに関わるか
21.親密欲求と不可侵欲求のはざま—SSTの効用
22.コミュニケーションと自分—SSTの真髄
23.孤立・孤独の不安とSST
24.自らを語る意味—SSTの真価
[付録]地域ケア時代の精神科医療の理念と技術
[対談]対談“SST”を語る—私が求める臨床家像とSST/西園昌久・安西信雄/(司会)岩坂英巳

  • 出版社 ‏ : ‎金剛出版
  • 発売日 ‏ : ‎2023/3/3
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎280ページ

購入はこちら

Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。