介護人材不足の現状とスポットワークへの期待
近年、少子高齢化の進行により介護サービスの需要が増加する一方で、介護職員の数は減少傾向にあります。厚生労働省の推計では、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされていますが、2023年の介護職員数は前年比で約2.9万人減少し、初めての減少に転じました。
このような状況の中、短期的な人手不足解消だけでなく、介護業界への新たな人材確保の手段としてスポットワークが注目されています。スキマバイトサービス「タイミー」は、介護関連のスポットワークを経験した働き手280名を対象に「介護領域におけるスポットワークに関する意識調査」を実施し、その有用性を検証しました。

無資格・未経験者層が介護業界に関心
調査結果から、介護関連資格を持たず、本職も介護関連ではない「無資格・未経験者」層において、スポットワークが介護業界への関心を高める効果があることが明らかになりました。
介護業界へのイメージ向上
スポットワークを経験した後、「介護業界の就業に対するイメージが向上した」と回答した無資格・未経験者層は約6割(59.7%)に上りました。スポットワークを始める前は、「資格がないとできない仕事だと思っていた」と回答する人が67.7%と多く、介護業界の仕事に対する心理的なハードルが高かったことが伺えます。スポットワークが、こうしたイメージを払拭し、業界への理解を深めるきっかけとなっているようです。

介護業界への関与意欲と資格取得の検討
スポットワークをきっかけに「介護業界に関わりたいと思うようになった」と回答した無資格・未経験者層は、7割以上(71.0%)に達しました。さらに、タイミーからの資格取得支援を条件とした場合、7割以上(70.9%)が介護関連の資格取得への意欲が向上すると回答しています。
将来的に「介護関連の資格取得」や「介護職への本格的な就業」を検討する可能性があると回答した人も4割以上(40.4%)おり、スポットワークが介護業界への新たな人材流入の道を開く可能性を示唆しています。

潜在有資格者の掘り起こしと復職支援
スポットワークは、未経験者だけでなく、介護関連の資格を持ちながら現在介護職に就いていない「潜在有資格者」の掘り起こしや復職にも寄与しています。
異なる施設での経験が自信に
介護関連の有資格者のうち、7割以上(72.4%)が「これまでの本業経験とは異なる種別の施設でスポットワークをした経験がある」と回答しました。異なる施設での経験は、「同じ資格でも、施設によって役割やスキルが異なることが分かった」(39.6%)といった気づきをもたらし、6割以上(66.8%)が「介護職としての自信に繋がった」と回答しています。
これにより、スポットワークが介護業界内の有資格人材の施設間シェアリングを促進し、働き手自身のキャリア形成にも良い影響を与えていることが推察されます。

潜在有資格者の就業ハードル低下と長期就業意向
潜在有資格者層では、4割以上(40.9%)が「スポットワークで働いたことで、介護業界での就業に対するハードルが下がった」と回答しています。さらに、6割以上(64.4%)が「良い職場に巡り合ったら長期就業したい」と回答しており、実際に約5割(51.5%)が事業者から長期就業を打診された経験があることも分かりました。
これらの結果は、スポットワークが潜在有資格者の介護業界への復職を後押しし、長期的な雇用に繋がる可能性を示しています。


専門家の見解
淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は、今回の調査結果を受けて、「スポットワークは新しい介護雇用創出のツールになっている」との見解を示しています。教授は、スポットワークが短時間の労働力確保という側面だけでなく、ICT化やDX化といった技術向上により、比較的気軽な気持ちで介護現場で働くきっかけとなりうると評価しています。人材不足への対応策の一つとして、スポットワークの活用を検討する価値があるとしています。
まとめ
今回の調査により、スポットワークが介護業界における人材確保の有効な手段であることが示されました。介護未経験・無資格者層の業界への新規流入を促し、潜在有資格者の復職を支援することで、深刻な介護人材不足の解消に貢献する可能性を秘めています。今後もスポットワークの活用が進むことで、介護業界全体が活性化し、より多くの人々が安心して介護サービスを受けられる社会へと繋がることが期待されます。
関連情報
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html - 厚生労働省「介護職員数の推移の更新(令和5年分)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47882.html



