開催背景:人材不足と「働きたいのに働けない」をつなぐ
地方都市では労働人口の減少が進む一方で、ひきこもり、がんサバイバー、難病者など、様々な理由で「働きづらさ」を抱え、その能力を発揮できずにいる人々が存在します。「WORK!DIVERSITYプロジェクトin岐阜」は、このような多様な就労困難者に対し、地域の就労支援拠点と連携しながら、訓練・支援・就職・定着までを一貫してサポートすることで、地域の新たな担い手を創出する仕組みづくりに取り組んでいます。
2025年度 活動報告:600万人の可能性と中小企業への貢献
報告会では、一般社団法人サステイナブル・サポートの代表理事である後藤千絵氏より、岐阜市における支援スキーム、連携体制、実績、そして課題が報告されました。
労働人口が減少する中で、ひきこもりやがんサバイバーなど「制度の狭間」で働きづらさを抱える人々は約600万人いるとされ、そのうち270万人が就労に至っていないと推計されています。この層へのアプローチが、地域社会の持続可能性にとって重要であることが強調されました。
岐阜市では、既存の障害者就労支援施設を活用し、多様な就労困難者へ訓練を提供し企業とマッチングする実証事業を通じて、24名(全員が中小企業)の一般就労を実現しました。これは、深刻な人材不足に悩む中小企業にとって新たな労働力となる可能性を示しています。
また、企業が就労困難者雇用への一歩を踏み出す上での「受け入れの壁」を乗り越えるため、県内企業との「雇用政策検討会」が実施され、「ダイバーシティセンターの設置」や「企業への支援制度・優遇措置の拡充」など、現実的かつ具体的な4つの政策提言がまとめられました。
パネルディスカッション:「企業の立場から見えた課題と必要な施策」
第2部では、武蔵野大学教授で岐阜市活性化研究所所長の秋元祥治氏をファシリテーターに迎え、企業関係者と一般社団法人サステイナブル・サポートの代表理事によるパネルディスカッションが行われました。
採用難、定着、現場でのミスマッチといった企業が抱える課題を起点に、「受け入れ現場の不安」「社内の理解」「業務設計」「伴走支援の必要性」「短時間・段階的雇用の重要性」など、現場の具体的な論点が共有されました。
多くの企業はワークダイバーシティに反対ではないものの、「手は添えているけど力は入れていない」状態にあるという指摘がありました。人事総務の手間や心理的ハードルから、人手不足であっても自ら積極的に取り組む企業はまだ少ないという実態が共有されています。
社会を変革するには「制度」「意識」「技術」の3要素が必要とされますが、この領域は技術での解決が難しいため、「意識と制度」の変革が鍵となるとの意見で一致しました。特に、企業の意識だけを変えるのは難しく、行政による「制度」の後押しや仕組み化こそが、企業が一歩踏み出すきっかけになると考えられています。
また、就労困難者の雇用を企業の「公益」活動として捉え直し、その社会的効果を「インパクト評価」などで可視化する重要性が語られました。これにより、企業のブランディングや若年層の採用力強化にもつながるという、経済合理性と社会貢献を両立させる新たな可能性が議論されました。
提言書提出セレモニー:行政との連携を再確認
パネルディスカッションの幕間には、県内企業17社が議論を重ねてまとめた政策提言書(2025年7月提出)を振り返るセレモニーが行われ、行政との連携が再確認されました。提言書は「企業の声」を起点に構成されており、現場での実装可能性を重視している点が特徴です。
岐阜市長に聞く「岐阜市で拓くワークダイバーシティの構想について」
特別ゲストとして岐阜市長の柴橋正直氏が登壇し、公益財団法人日本財団 国内事業開発チーム アドバイザーの木村弥生氏が進行を務めました。
柴橋市長は、「社会課題の解決には行政だけでなく、民間企業・地域のリソースが不可欠」「企業がアクションを起こすための動機づけや仕組みが重要」という観点から、官民連携で取り組みを進める方向性を示しました。
岐阜市単独のモデル事業から近隣自治体も巻き込んだ「広域連携」へと発展させる構想が発表され、当事者や企業が心理的ハードルなく自然に集い、相談やマッチングができる居場所として「マネジメントセンター」を駅前施設に設置する計画が語られました。
また、フルタイムでの就労が難しい方に向けて、週1日・1時間から始められる「超短時間雇用」を組み合わせる岐阜市独自の支援が紹介されました。これは、小さなステップから働く喜びや社会参画の機会を提供し、多様なニーズに応えるセーフティネットの重要性を強調するものです。
日本財団の木村氏からは、超党派議連による「議員立法(国の制度化)」に向けた動きが報告され、支えられる側(タックスイーター)が支える側(タックスペイヤー)に回ることで、社会全体が豊かになるという確信のもと、地方の実践から国を動かす力強い決意が共有されました。
今後の展開:「相談→訓練→就職→定着」を地域で当たり前に
一般社団法人サステイナブル・サポートは、岐阜市内の企業・行政・支援機関と連携し、就労困難者が地域で力を発揮できる雇用の選択肢をさらに広げていく方針です。今後は、相談から就労までの導線整備と、企業側の不安を軽減する受け入れ設計・定着支援を重点的に推進します。具体的には、早期アセスメントを強化し、本人の希望と適性に応じた段階的な就労機会につなげるとともに、業務の切り出し、現場体制づくり、相談窓口の明確化など、採用から定着までを一体でサポートします。提言内容の実装に向け、企業が継続的に参画しやすい地域の仕組みづくりも進められます。

一般社団法人サステイナブル・サポートについて
一般社団法人サステイナブル・サポートは、「誰もが自分らしく生きることのできる社会」を目指し、就労支援を中心に、一人ひとりの「自分らしさ」に寄り添い、「働く」を通じて自己理解や可能性を広げ、未来への一歩を踏み出すためのサポートを行っています。誰ひとり取り残さない支援と予防的アプローチを大切にし、差別や偏見のない地域社会づくり、そして多様性(ダイバーシティ)の推進にも取り組んでいます。
主な事業内容は以下の通りです。
- 就労移行支援・就労定着支援・就労継続支援B型事業所の運営
- 就労選択支援事業、雇用相談援助事業、リワーク支援の実施
- 就職活動に困難を抱える学生及び若者のキャリア支援プログラムの企画・運営
- 岐阜市WORK!DIVERSITYプロジェクト実証化モデル事業の運営・実施
- 岐阜県若者サポートステーション事業の運営・実施
- 岐阜県委託伴走型ひきこもり支援事業の実施
- 障害啓発講演会、ダイバーシティ啓発イベントの企画・運営
詳細については、以下の公式ウェブサイトをご覧ください。
- WORK!DIVERSITYプロジェクトin岐阜 公式HP: https://workdiversitygifu.com/
- 一般社団法人サステイナブル・サポート 法人HP: https://sus-sup.com/
会社概要
法人名:一般社団法人サステイナブル・サポート
所在地:岐阜県岐阜市長住町2丁目7番地 アーバンフロントビル3階
代表理事:後藤 千絵
設立:2015年7月
電話番号:TEL 058-216-0520 FAX 058-215-1932

