Last Updated on 2025年12月22日 by 菅間 大樹

『ふるさと応援H(英知)プログラム』とは

このプログラムは、エア・ウォーターグループの創業の地の一つである北海道の持続的な発展に貢献するため、2023年度に創設されました。2023年度から2030年度までの8年間で総額10億円を上限に、道内179市町村を対象としています。

「地球環境」や「ウェルネス」の観点を含め、教育、福祉、農業、観光など多岐にわたる分野で、自治体が主導する社会課題解決事業を募集しています。地域行政や経済に精通した外部有識者による厳正な審査を経て、持続性、波及性、創造性、協働性、地域への貢献、将来性、主体性といった様々な視点から採択事業が選ばれます。

2025年度の注目すべき特徴

2025年度は、過去3年間で最も多い応募件数があり、57市町村から69事業、寄付要望総額4億99百万円もの提案が寄せられました。これは、北海道の自治体が地域課題の解決にどれほど積極的に取り組んでいるかを示すものです。

特に注目されたのは、獣害対策やDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用といった、多くの地域で共通する深刻な課題への取り組みです。また、今年度から新たに複数年度にわたる事業も対象となり、地域の活性化に向けた長期的な視点を持つ提案が多く寄せられました。これにより、プログラムが地域に深く根差し、より大きな影響を与える可能性が広がっています。

寄付先と社会貢献への期待

今回の決定により、北海道の様々な地域で、多様な取り組みが後押しされます。例えば、農業分野では「食糧自給率6,800%を向上させるBS(バイオスティミュラント)試作実証事業」(更別村)や「ICTによる農林業課題の解決と地域環境モニタリング」(池田町)など、地域の特性を活かした先進的なプロジェクトが採択されています。

そして、地域社会の重要な要素である福祉分野においても、「あさひかわ地域共創イノベーション創出プロジェクト」(旭川市)が複数年事業として採択されました。このような福祉関連の取り組みは、誰もが安心して暮らせる地域づくりに貢献し、障害を持つ方々を含め、地域住民全体の生活の質の向上に繋がるものです。各地域でのきめ細やかな支援を通じて、共生社会の実現に向けた動きが加速することが期待されます。

2025年度の寄付金の交付は、2026年3月末までに実施される予定です。選定された事業の詳細や進捗状況は、『ふるさと応援H(英知)プログラム』の専用サイトで公開されます。

このプログラムが、北海道の未来を支え、地域社会の誰もが希望を持てるような温かい社会を築く一助となることを願います。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77