山梨県のケアラー支援、新たな段階へ
山梨県が2024年度に実施したケアラー実態調査では、回答者の4人に1人がケアラーに該当し、精神的・身体的負担、離職・失業経験など、深刻な課題が明らかになりました。この結果を受け、山梨県は「問題に“気づき”、適切な支援に”つながり”、社会全体で”支え合う”」ことを重視した支援体制を推進しています。その一環として、2025年4月のポータルサイト開設時から生成AIの実証が進められてきました。
ここでの「気づき」とは、ケア負担を認識できていない本人や、周囲が見落としているケアラーの状況を早期に発見し、支援につなげる「早期発見」を意味します。
生成AIがケアラーの「困った」を解決
今回アップデートされた生成AI機能は、以下の3つの特徴を持っています。
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文脈を理解し、最適な支援へ“導く”高精度回答: 利用者が知りたい情報を入力すると、生成AIが文脈を正確に読み取り、ケアラーの状況に適した回答を提示します。これにより、情報探索の負担が軽減されます。2025年4月から行われた県職員や市町村担当者による実証試験では、極めて高い精度で適切な回答にたどり着くことが確認されています。
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制度の“縦割り”を突破し、圧倒的に探しやすく: 県・市町村・国の支援情報を横断的に整理し、「自分に合う制度はどれか」を瞬時に提示します。これにより、複数のページを行き来することなく、スムーズに情報にアクセスできるようになりました。
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多様なケアラー像に寄り添い、一人ひとりに最適化: ヤングケアラー、ビジネスケアラー、ダブルケアなど、ケアラーの背景は多岐にわたります。生成AIはそれぞれの違いを踏まえ、状況に応じた個別最適の支援情報を提供します。
「やまなしケアラー支援ポータルサイト」の役割
「やまなしケアラー支援ポータルサイト」は、「誰でも・いつでも・どこでも、情報や手続きが一元的にわかる」ことを目指して構築された総合サイトです。高齢者介護、障がい児者支援、ヤングケアラー、妊娠・出産・子育て支援、生活困窮、こころの健康への支援など、幅広い支援情報を一元的に掲載しています。
サイトでは、次のような情報が提供されています。
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相談窓口の一覧
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支援制度・利用できるサービスの紹介
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ケアラーとは何か、困ったときの対処法
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ケース別支援情報(ヤングケアラー、ダブルケアラー、ビジネスケアラー等)
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県の取り組み、調査結果、啓発資料
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AIチャットボット(FAQ回答)
サイトはこちらからご覧いただけます。
やまなしケアラー支援ポータルサイト
社会全体でケアラーを支える未来へ
山梨県は、県民一人ひとりが“自由な選択をし、活躍できる社会”の実現を目指しており、ケアラー支援を家庭内の問題にとどまらない、地域社会や企業活動にも大きな影響を及ぼす重要な課題と認識しています。特に、介護の負担が個人や家庭に過度にかかることによる「介護離職」は、大きな社会的損失であると考えられています。
今後は、家族がすべてを抱え込むのではなく、社会全体でケアラーを支えるという認識に転換していくことが重要です。今回の生成AI導入により、より多くの県民が必要な支援に迅速かつ正確につながることが期待されます。山梨県は、ケアラーが孤立することなく、安心して暮らせる社会の実現に向けて、支援の充実と環境整備を推進していく方針です。
今後、生成AIが案内できる情報の拡充に加え、ケアラーの声を反映した改善や、企業・地域と連携した理解促進が段階的に進められるでしょう。

