Last Updated on 2025年12月25日 by 菅間 大樹

浦和レッズレディース選手と認知症のある方が「普通」の対話を実現

株式会社学研ホールディングスのグループ会社であるメディカル・ケア・サービス株式会社は、パートナーを務める三菱重工浦和レッズレディース(以下、レッズレディース)の選手とともに、「認知症教育の出前講座」を実施しました。この取り組みは、レッズレディースが所属するWEリーグが掲げる「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する。」という理念の実現に向けた「WE ACTION」の一環として行われたものです。

研修風景

講座では、選手たちが認知症に関する正しい知識を学んだ後、メディカル・ケア・サービス株式会社が運営する愛の家グループホームを訪問し、ご利用者との交流を行いました。スポーツ選手と認知症のある方が世代や立場を超えて交流することで、認知症に対する誤解や偏見を解く貴重な機会となりました。

偏見なく「ひとりの人」として向き合う交流

交流会では、選手たちがご利用者を認知症のある方として接するのではなく、まるで友人との「女子会」や「孫と祖父母」のような、隔たりのない自然な対話が繰り広げられました。ご利用者一人ひとりに対して、対等な「ひとりの人」として向き合う、こうした偏見のない交流は、メディカル・ケア・サービス株式会社が目指す「認知症を取り巻く、あらゆる社会環境を変革する」ために最も重要な要素の一つと捉えられています。

屋外イベントで交流する様子

選手と高齢者の交流風景

交流から生まれた新たな気づき

交流後、参加者からは多くの温かい感想が寄せられました。

<ご利用者からの感想>

  • 「若い人たちとお話ししたり、交流することができてよかった」

  • 「応援したいと思った」

  • 「また会いに来てほしい」

<レッズレディース選手からの感想>

  • 「自分が思っていた認知症と症状が全然違った。認知症であるだけで、中身は『普通』のおばあちゃんで、あまり周りと変わらないと思った」

  • 「(ご利用者が)すごくいきいきした表情をされていて、それを引き出す介護の力を魅力的だと感じた」

  • 「(介護職は)すごく大変そうというイメージだったが、事業所を訪問してご利用者との関わりを見て、みんな楽しそうだった」

  • 「認知症のある方への具体的な支え方が分かり、自分にもできると思えた。認知症は『支え合えば安心して暮らせるもの』というイメージに変わった」

これらの感想は、交流がいかに参加者双方にとって有意義なものであったかを物語っています。特に選手たちが認知症へのイメージを大きく変え、「支え合えば安心して暮らせるもの」と捉え直したことは、共生社会の実現に向けた大きな一歩と言えるでしょう。

認知症基本法が目指す「共生社会」の実現へ

2024年の「認知症基本法」施行以降、認知症に対する誤解や偏見を解消し、「すべての認知症のある方が社会の対等な構成員として、個性と能力を十分発揮できるようにする」ことが社会全体に求められています。しかし、未だ認知症を「特別なもの」として捉える傾向があり、それが当事者の孤立や孤独を招いている実態があります。

「認知症を取り巻く、あらゆる社会環境を変革する」をミッションに掲げるメディカル・ケア・サービス株式会社は、企業や地域の大人を対象とした「認知症の出前講座」を2025年より展開しています。この活動は、「認知症になっても安心して暮らせる社会」への希望となると同時に、次世代を担う方々に、介護現場の新たな一面やその魅力について考える契機になると期待されています。

今後の取り組み

メディカル・ケア・サービス株式会社は、今後も浦和レッズとともに「健康で心豊かな社会づくりに貢献」するべく、パートナーとして努めていくと表明しています。未来を担う子どもたちをはじめ、あらゆる世代に向けて認知症教育やグループホームご利用者の姿を発信し、こうした活動を通じて認知症への偏見や誤解を解き、「認知症を取り巻く、あらゆる社会環境を変革する」ための挑戦を続けていくとのことです。

実施概要

  • 実施日: 2025年11月26日(水)13:00~16:00

  • 認知症教育のテーマ: 認知症のある方のパートナーに! ~誰もが暮らしやすい社会を考えよう~

  • 講師: 杉本浩司(メディカル・ケア・サービス株式会社 品質向上推進部長/コーポレートコミュニケーション部長/事業支援部長)

    • “日本一かっこいい介護福祉士”として知られ、講演回数延べ1,300回、聴講者数延べ7万人超の実績を持つ。国家資格介護福祉士の上級資格である認定介護福祉士策定の際は、180万人の介護福祉士から「唯一の人物モデル」として幹事委員に選ばれています。

関連情報

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77