ロスパラへの切符を掴んだ選手たち
今大会の大きな焦点の一つは、2026年度アジア・オセアニア選手権(4月・タイ)への派遣標準記録突破でした。この重圧の中、見事に壁を超えた2名の選手が誕生しました。
男子59Kg級:光瀬智洋選手
記録:157kg(派遣標準記録クリア/自己ベスト(日本新)タイ記録)
「絶対に失敗できない」という状況で第2試技を失敗した光瀬選手。後がなくなった第3試技では、会場のボルテージは最高潮に達しました。観客の声援を背に、光瀬選手は157kgを成功させました。

光瀬選手は「会場をひとつにしたい、と思っていました。皆さんの声援のおかげで157kgを挙げることができました。自分の目指すスタイルに近づけた試合だったと感じています」とコメントしています。
男子80kg級:日野雄貴選手
記録:180kg(派遣標準記録クリア/自己ベスト更新)
昨年10月の世界選手権で同じ180kgに挑み失敗した経験を持つ日野選手は、その記憶と向き合いながら今大会を迎えました。しかし、本番でバーを握った瞬間、迷いは消え去ったといいます。「気づけば成功していた」と語るように、無心の境地で180kgを成功させました。

日野選手は「また失敗したら…という不安を抱えて迎えた大会でしたが、バーを握った瞬間、これまでの練習の良いイメージが一気に浮かびました。気づけば180kgが成功していて、コーチと握手をしていました。なぜか悔しさも残っています。この気持ちを、世界での輝きに変えたいと思います」と心境を述べました。
限界を塗り替える挑戦:2つの日本新記録が誕生
男子49kg級:西崎哲男選手
記録:146kg(日本新記録)
自身の日本記録を更新した西崎選手ですが、その視線はさらに先にありました。目標は「出場階級(49Kg)の3倍」という147kg。特別試技で挑んだ147kgは惜しくも失敗に終わりましたが、その挑戦が会場を震わせました。

西崎選手は「日本人でまだ誰も出していない、出場階級の3倍の記録。一番最初に、達成したいと思っています」と語りました。
女子79kg級:田中秩加香選手
記録:105kg(日本新記録)
田中選手は第2試技で104kg、第3試技で105kgと、2試技連続で日本記録を更新する圧巻のパフォーマンスを披露しました。

田中選手は「大会直前に体調を崩し、本番でどこまで上げられるか分からない状態の中でも、106kgに挑戦することができました。成功には至りませんでしたが最後まで挙げることができたことに驚きもあり、うれしくもあり、安堵もしています。その中で、105kgの日本新記録を更新できたことを自信に、ロサンゼルス・パラリンピックまでの約2年半、確実に重量を伸ばしていきたいと思います」とコメントしています。
日本初、50kgプレートの衝撃
男子107kg超級:Enkhbayar Sodnompiljee選手(モンゴル)
記録:240kg
東京パラリンピック金メダリストであるEnkhbayar Sodnompiljee選手が、全日本の舞台に“世界基準”をもたらしました。日本の国内大会では初めてとなる50kgプレート(黒色)がバーベルに装着され、その異次元の重さを軽々と成功させる姿に、会場からは感嘆の声が漏れました。


大会総括と今後の展望
大会実行委員長であり強化委員長でもある吉田 進氏は、「多くの方の支えにより、無事に大会を終えることができました。日本選手にとって、目指す頂きがより高く、世界が広いことを実感する大会になったと思います。“観て楽しい”、“応援して力になる”、大会づくりを通じて、競技のすそ野をさらに広げていきたいと考えています」と大会を振り返りました。

今後の展開として、選考委員会による審査を経て、2026年4月に開催されるアジア・オセアニア選手権(タイ)の日本代表選手は1月下旬から2月上旬に発表される予定です。
大会の公式リザルトは以下のリンクから確認できます。

