Last Updated on 2025年12月20日 by 菅間 大樹

自治体独自のルールがもたらす課題

例えば、東京都杉並区では、以下のような「自治体独自のルール」が存在しているとされています。

  1. 運営事業者の法人格による交通費支給の差
    社会福祉法人やNPO法人が運営する就労継続支援B型に通う利用者には交通費が支給される一方で、株式会社が運営する事業所に通う方には交通費が支給されないケースがあります。事業者が交通費を代わりに支給することも禁止されているため、経済的な理由でサービスへのアクセスが難しくなるという問題が生じています。

  2. 電子署名の一律禁止
    障害福祉サービスの利用契約や記録書類において、障害のある方が「電子署名」をすることが認められていません。そのため、全ての書類に手書きのサインが必須となっており、デジタル化の遅れの一因となっていると考えられます。現代において電子契約や書類の電子保管が広く認められている状況から見ると、障害のある方に電子署名を認めないことは、「障害を理由とした差別」を禁止する障害者権利条約や障害者基本法の趣旨に照らし、運用の見直しが望ましいとされています。

これらの課題に対して、業界団体を通じた自治体との意見交換や、地方議会議員・東京都議会議員を通じた提言が重ねられています。

障害当事者の声を集めるアンケート調査

株式会社パパゲーノは、こうした自治体独自のルールに対する「障害当事者の声」を集め、杉並区や東京都、厚生労働省などへの政策提言に活用するためのアンケート調査を開始しました。

  • 調査名: 自治体の独自ルールに関するアンケート調査【障害当事者の方向け】

  • 対象: 障害福祉サービスを利用している方(杉並区以外にお住まいの方も回答可能)

  • 調査期間: 2025年12月20日(土)〜2026年1月31日(土)

  • 所要時間: 2〜3分程度

  • 目的: 杉並区、東京都、厚生労働省等への政策提言

  • 調査結果の発表: パパゲーノAI福祉研究所(Webメディア)にて公開予定(個人や所属事業所が特定できない形に匿名加工して公表されます)

皆さんの声が、より公平で利用しやすい障害福祉サービスの実現につながるかもしれません。ぜひこの機会に、日頃感じている困り事を届けてみませんか。

アンケート回答フォームはこちらから:
https://forms.gle/gf7puosouY1Q26Zw7

調査に込められた想い

この調査は、特定の自治体を批判することが目的ではなく、当事者の声をもとに、行政と一緒により良い制度を考えていくきっかけにしたいという想いで実施されています。デジタル化が進む現代において、障害のある方々にとってもデジタル技術を活用し、アクセスしやすい仕組みを整えていくことは、障害福祉業界全体の課題であるという認識が示されています。

株式会社パパゲーノとパパゲーノAI福祉研究所について

株式会社パパゲーノは、「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指し、「リカバリーの社会実装」を事業を通して行う会社です。精神・発達障害のある方を対象とした就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」の運営や、支援現場のDXアプリ「AI支援さん」の開発・提供を行っています。

パパゲーノAI福祉研究所は、AIと福祉の未来を科学するWebメディアであり、障害当事者と支援者が共に運営しています。

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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77