Last Updated on 2020年8月12日 by 菅間 大樹
精神・知的障がいのある出院者が描いたイラストを採用し、より高いデザイン性を実現
障害者などの就労支援を手掛ける埼玉福興株式会社(埼玉県熊谷市、新井利昌 代表取締役)とデザインを通じた社会課題の解決を目指すクリエイティブ集団、チームNAOKO(PL奥村奈央子 AD中川 梨恵)は、少年院などを所管する法務省矯正局と連携し、精神・知的障がいのある出院者たちとの共創により、同省法務教官の広報パンフレットを制作しました。
法務省矯正局がすすめる法務教官のイメージ向上に向けた施策の一環として、デザインの可能性に注目した官民連携プロジェクトとなります。
【プロジェクト概要】
本プロジェクトは、法務省矯正局(少年院や刑務所を所管)と日本のソーシャルファームをリードする埼玉福興株式会社が行う実験的な取り組みです。ダイバーシティが提唱されている今、少年院出院者もまた、社会からその「違い」を受け入れてもらい、孤立することなく生きていくことが再非行の防止につながります。今パンフレットは、その第1作として、イラストを埼玉福興株式会社が担当し、チームNAOKO(プロジェクトリーダー・奥村奈央子、アートディレクター・中川梨恵)がデザインすることで、誰も孤立することなく支え合う社会の実現を表現し、メッセージとして社会へ届けたいという思いで制作されました。
今回制作したパンフレットは、A4版カラーで計16ページのリーフレットタイプです。埼玉福興で働く精神・知的障がいを持つ少年院出院者がデザインの素材となるイラスト作成を担当し、チームNAOKOが企画からデザイン、制作を手掛ける「共創デザイン」という手法により完成させました。過去の非行歴や障がいなどにより社会的なハンディキャップを抱えている人々の個性を認め、クリエイティブのフィルターを通すことにより、従来のシンプルなデザインと比べると、より鮮やかな色やデザインを採用し印象的なパンフレットに仕上がりました。
<本プロジェクトに関わる組織について>
【企画デザイン:チームNAOKOの活動】
デザインで社会と繋げることがミッションとし、イタリアや日本で生きづらさを抱える人々との共創デザインを行う。質の高いデザインと精神や知的に障がいを持つ人たちの表現と組み合わせることで、新しいクリエイティブの形、デザインを手段として社会の多様性を実現するクリエイティブチームです。
http://www.naokoo.com
【埼玉福興株式会社(ソーシャルファーム)】
埼玉福興株式会社は、少年院、刑務所を出た人たちなど含め、一般の労働市場で働きにくい人達の雇用を農業で創出する農福一体の社会的企業です。農産物の生産以外に、新しい働き方の1つとして、高齢になった人々を対象にNAOKO(奥村奈央子)がディレクターとして、アートデザインプロジェクトに取り組んでいます。
*ソーシャルファーム(Social Firm)とは
社会的に弱い立場の人たちの雇用・自立を目的とする働く場のこと。埼玉福興株式会社は、発達障害、精神障害、罪を犯した障がい者、引きこもり、アルコール依存症や覚醒剤中毒、認知症の人など、(福祉施設でも受け入れが難しい)様々な背景をもった人々が共に働く社会的企業(Social Firm)です。
http://saitamafukko.com/
【法務省矯正局】
法務省矯正局は、矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院)を所管している国の機関です。
http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_index.html