Last Updated on 2023年4月27日 by 菅間 大樹
大学ジャーナルというサイトに以下のような記事が載っていました。
●障害を持つ学生が急増、支援体制を持つ大学も拡大
http://univ-journal.jp/16079/
記事の通りだと思います。ただ、増えたというより「見つかった」に近いかな、というのが、就労移行支援事業に携わってきた筆者の感覚です。
障害のある学生が入学する割合が急に増えたわけではないと思います。障害のある学生は従来からいたはずです。
ではなぜ「増えた」のか。それは、これまでは申告がなかったので大学側も障害のある学生がどのくらいいるのか把握できていなかったことが大きいのではないでしょうか。
それが申告しやすい状況になったり、または学生課などが申告を促したり、さらに積極的に支援するようになったことでカミングアウトする学生が増え、それがカウントされるようになり、実数に近づいてきたということだと思います。
ですので、対象の学生が急に増えたというよりも、顕在化し、しっかりカウントされるようになってきたといえるでしょう。
(引用)
最近の増加の背景として2016年度に障害者差別解消法が施行されたのに備え、大学などが受け入れ体制整備に入ったのに加え、障害のある学生に範囲について「その他」カテゴリーに入っていた精神疾患、精神障害を「精神障害」カテゴリーとして独立させたことから、大学などで学生の把握がしやすくなったことが挙げられる。
(引用ここまで)
ようやくスタートラインに立った、立つ準備が整ってきた、と言えるのではないでしょうか。
しかし課題はこれからです。大学に、障害知識に明るい職員がいるとは限りません。また、大学生活は比較的順調に遅れても、就活でつまずく障害学生は多くいます。
「いる」ことが分かり、ではそれからどう支援していくか。なぜ社会人になるにつれ、つまづくことが多くなるのかを大学側がしっかり理解し、十分な支援体制を整える必要がありそうです。
具体的には「社会性」が鍵になるのでは、と筆者は考えますが、大学側と当事者の学生、そして就職先となる企業が多くの会話を繰り返し、お互いが理解し尊重し合うことが欠かせません。
障害者の就労者数は増加する一方ですが、一年間で退職する障害者もいまだ一定数います。障害学生を的確に把握できるようになりつつあるのは大きな一歩といえるでしょう。その先には就職がありますが、数年で離職してしまっては意味がありません。本人はもちろん、大学側、企業側も障害特性や業務適性を正しく理解し、早期の離職を防ぐような支援も同時に求められるといえそうです。
※当コラムは別サイトに2017年10月に掲載した記事に加筆・修正したものです。