Last Updated on 2023年7月21日 by 菅間 大樹
アスペルガー症候群は発達障害の1つです。その特徴から今の仕事に悩み転職をしようと思ったとき、「アスペルガー症候群であることを伝えるべきだろうか?」「伝えたことで仕事が見つからないのではないか?」といった不安や悩みを抱えることもあるでしょう。
アスペルガー症候群の方は、自分の特徴が活かせる業務や環境であれば、高い能力を発揮できますし、職場に大きく貢献できる可能性も高いと言われています。
逆に、自分の特徴にそぐわない業務についた場合、仕事でのミスや失敗が多くなり、仕事が続けられなくなることもあります。
このコラムでは、アスペルガー症候群の方から寄せられたアンケートの結果をもとに、仕事探しのポイントや職場での工夫など「働きやすい職場を見つけるポイント」を、体験談を交えながら紹介します。ぜひ、お仕事探しの参考にしてみてください。
目次
- アスペルガー症候群とは
- アスペルガーの方が職場で経験する困難とは
- アスペルガーの方が満足できる職場で働くために大切なこと
- 自分のアスペルガーの特徴を理解してもらうために
- 仕事探しに確認したいポイント
- 働きやすい企業・業種
- これから仕事探しを始める方へ
- 面接のポイント
- 入社後に心がけた仕事の工夫
- 最後に
1.アスペルガー症候群とは
1-1 アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。最初に症例を報告したハンス・アスペルガーというオーストリアの小児科医の名前にちなんでつけられました。 アスペルガー症候群は、自閉症の3つの特徴のうち 「対人関係の障害」 「パターン化した興味や活動」 の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。言葉の発達の遅れがないというところが自閉症と違うところです。知的発達に遅れのある人はほとんどいません。 アスペルガー症候群の人々には、「表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特」「親しい友人関係を築けない」「慣習的な暗黙のルールが分からない」「会話で、冗談や比喩・皮肉が分からない」「興味の対象が独特で変わっている(特殊な物の収集癖があるなど)」といった特徴があります。このほかに身体の使い方がぎこちなく「不器用」な場合が多くみられます。 |
1-2 アスペルガー症候群と自閉症スペクトラム(ASD)について
アスペルガー症候群は、広汎性発達障害の1つとされていました。それは、知的障害や自閉傾向の程度により細かく分けられていたためです。
でも現在は、国際的な精神疾患の診断基準により、「自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症(ASD)」という疾患名に変わっています。
それは、「自閉症」「アスペルガー障害」の境界線があいまいであったり、症状が重複しているため、正式に分けることができないと判断されているからです。
しかし日本の行政機関では、まだ「アスペルガー症候群」という名称が使われています。これは「国際疾病分類(ICD)」に基づいているからです。そのため、障害者保健福祉手帳などを申請するときは、診断名として「アスペルガー症候群」を書かれていることがあります。
ただ最新の「国際疾病分類(ICD)」は、自閉スペクトラム症に改訂されているため、日本の診断や行政で使用される名称も変わっていくとされています。
他人との意思疎通が難しい、その場の雰囲気やルールを理解するのが苦手などといった特徴から、仕事を行う上でも悩みを生じることが多いのではないでしょうか?
実際に、みなさんどのような悩みを感じているのでしょうか?
2.アスペルガーの方が職場で経験する困難とは
2-1職場で感じた辛い体験
アスペルガーの特徴を持つ方は、職場ではどのようなことが悩みや困りごと感じているのでしょうか。アンケートをみてみましょう。
“ 「音に敏感なので、BGMや人の歩く音が非常に不愉快に感じます」 「電話応対などで頭が真っ白になってパニックになることがよくありました。単調な作業は得意ですが、複数のことを一度に頼まれると混乱してしまいます」 「一度に複数のことを指示されたときや、長い話のときは聞き漏らしが多くなります。メモを取りながらの指示受けや、電話応対ができませんでした。回りの様子を見ながら動けず、優先順位をつけて仕事をすることが難しかったです」 「仕事をするうえで苦手だったことは、言われたことをメモしても何を書いてあるのかわからなくなることです。電話が苦手で相手の会話が聞き取りづらいことが多く、相手に不愉快な思いをさせてしまったことが多いです」 ” |
アスペルガーの方の多くは、特徴を持っています。例えば
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