最優秀賞「プレートベースボール」

最優秀賞には、大阪市立北粉浜小学校の前島 有希様による「プレートベースボールー経験差を越えて、誰もが参加できるベースボール型学習教材ー」が選ばれました。この教材は、経験や技能の差が出やすいベースボール型学習において、「動くボールを打ってみたい」という子どもの願いを叶えるために開発されました。

プレートベースボール教材

プレートに向かってボールを転がすと、予測可能な高さに跳ね上がる仕組みにより、打撃のタイミングが視覚的・感覚的に捉えやすくなっています。これにより、運動に不安がある子どもや初めてベースボール型学習に取り組む子どもでも成功体験が得られます。さらに、投打のタイミングを「はい → ころ〜ん → どっ → かーん!」と子どもたちが自ら言語化することで、動作の見通しが持てるようになり、判断と動きが結びつく効果も期待されます。この教材は、単にベースボール型を「できるようにする」だけでなく、打つ・投げる以外の作戦立案、助言、分析、応援といった多様な関わり方を認めることで、すべての子どもが主体的に学べる協働的かつインクルーシブな体育学習の実現を目指しています。

前島様は「子どもたちと一緒に考え、悩みながら作った教材が選ばれたということが何より嬉しく思っています。学校に帰って報告し、子どもたちと一緒にまた喜びたいと思います」とコメントしています。

優秀賞に輝いた多様な教材

優秀賞には以下の5作品が選ばれました。

  • 「保育のひみつ道具」(鈴木 真耶様/就学前の部)
    伝えたいことを可視化し、伝える側も受け取る側も楽しくなる教材。視覚的に分かりやすく伝えることで、子どもの主体性を育みつつ、スムーズな活動を促します。遊び心を取り入れ、魔法のようなワクワク感で活動への意識を自然に切り替えることを目指します。
    保育のひみつ道具
  • 「インクルボタン」(小田原市立豊川小学校 赤松 陽子様/小学生(知的障害)の部)
    ボタンの付け外しを練習するための教材。単にボタンを付け外しするだけでなく、その過程を理解することに重きを置いた工夫が凝らされています。
    インクルボタン
  • 「フロアクライミング」(福井県立盲学校 玉本 憲司様/中学生の部)
    視覚障害や聴覚障害、知的障害、肢体不自由、発達障害など、多様なニーズを持つ子どもたちが安全に楽しく、自分のペースで挑戦できる運動教材です。スポーツクライミングの特性をヒントに開発され、全身の筋力や思考力、バランス感覚などを楽しみながら育むことを目指します。
    フロアクライミング
  • 「スカットボッチャ」(上越特別支援学校 伊藤 勇夫様/高校生の部)
    ボッチャのルールや得点計算の難しさを解決するため、スカットボールの台を応用し、ボッチャボールを使って穴に入った合計点で競う教材。Excelと電子黒板を活用し、点数を分かりやすく表示する工夫もされています。
    スカットボッチャ
  • 「TETTO」(学校法人 聖書学園 千葉英和高等学校 澤井 美波様・飯嶋 美香様/福祉・一般の部)
    手話に興味があっても、実際に始めるハードルが高いと感じる人々のために開発された、手話を簡単に楽しく学べるカードゲームです。手話の啓発活動の一環となることを願って作られました。
    TETTOルール説明

特別賞とオーディエンス賞

特別賞は以下の5作品に贈られました。

  • 日本生命賞:「ビジョントレーニング (ペットボトルキャップキャッチャーでキャッチしよう!)」(新発田市立佐々木中学校 西野 陽子様/中学生の部)
    追視と運動を連動させてトレーニングする教材。キャッチャーで取った時の感覚を楽しみながら活動できます。
    ビジョントレーニング
  • SMBC賞:「読みきかせ絵本『トイレでうんち』」(愛知県立瀬戸つばき特別支援学校 森 美幸様/小学生(知的障害)の部)
    トイレで排便することへの心理的なハードルを少しでも下げることを目指して創作された読み聞かせ絵本です。
    読みきかせ絵本「トイレでうんち」
  • スマートスクール賞:「ぼたんつけの練習」(神奈川県立保土ケ谷支援学校横浜平沼分教室 幸田 京子様/高校生の部)
    ボタンつけの経験が少ない生徒のために、扱いやすく手順を覚えることができる大型の模擬ボタンつけ教材です。
    ぼたんつけの練習
  • 合同出版賞:「オニドレ(おにぎりどーれだ!?)」(伊東 秀敏様/福祉・一般の部)
    「〇〇なおにぎり」といった曖昧な文章に適したおにぎりを選ぶカードゲーム。楽しみながら抽象概念や相手の思いを想像する力を育みます。
    オニドレ(おにぎりどーれだ!?)
  • 三和製作所賞:「動かすからわかる、計算サポーター」(広島大学大学院 人間社会科学研究科 山下 祥代様/小学生(発達障害)の部)
    発達障害のある小学生の算数指導のために生まれた3種類の教材(MathBar、MathPad、九九Bar)で構成され、数概念や計算手続きの理解をサポートします。
    動かすからわかる、計算サポーター

また、オーディエンス賞には、優秀賞でも紹介された「TETTO」(学校法人 聖書学園 千葉英和高等学校 澤井 美波様・飯嶋 美香様/福祉・一般の部)が再び選ばれました。

これらの教材は、すべての子どもたちが自信を持って学び、成長できるような教育環境を築くための大切な一歩となるでしょう。今後の商品化や情報共有を通じて、より多くの教育現場に広まることが期待されます。

関連情報


Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77