「デジタル駆け込み寺」始動:ヤングケアラー・8050問題を「家から出ずに」救う新たな福祉モデル
仙台市を拠点とする「介護と支援の相談どころ そよぎ」は、ヤングケアラーや8050問題、経済的虐待の当事者を支援する「ハイブリッド福祉モデル」の実証実験に向けた準備を開始しました。このモデルは、メタバース(仮想空間)とブロックチェーン技術を組み合わせることで、自宅から支援を受けられる「デジタル駆け込み寺」として注目されています。
このシステムは、2025年12月から2026年1月にかけて開催された技術コンテスト「Stablecoin (JPYC) Innovation Challenge 2025」において、123チーム中「3rd Place(3位)」と「技術賞」をダブル受賞し、その革新性が高く評価されています。

既存の福祉が届かない「見えない要支援者」への課題
ヤングケアラーや8050世帯の中には、親による「経済的虐待」や重度の対人恐怖により、役所の相談窓口へたどり着けない人々が多数存在します。数百円の相談料さえ動かせない、身分証さえ自由にならないといった状況下では、既存の「待つ福祉」では支援の手が届きにくいのが現状です。そのため、スマホ一つで、誰にも知られずに、確実に生活必需品が手に入る仕組みの構築が喫緊の課題とされていました。
メタバースとブロックチェーンで課題を解決
「デジタル駆け込み寺」は、以下の二つの柱でこの課題を解決します。
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メタバース相談(心の居場所)
顔を出さずに「アバター」で相談できるため、対人恐怖がある場合でもSOSを出しやすい環境を提供します。文字だけでなく音声会話も可能で、支援員が「居場所」として利用者に寄り添います。 -
デジタル支援(命の保護)
国が認めた電子決済手段である「JPYC(前払式支払手段)」を活用します。これにより、銀行口座を介さず、本人のスマートフォン(ウォレット)へ直接支援を届けられ、親などによる搾取のリスクを回避できます。JPYCはAmazonなどの通販やVプリカへの交換を通じて、食事や学用品など生活に必要なもの全般の購入に利用可能です。
将来的には、スマートコントラクト(自動契約技術)を活用し、酒やギャンブルなどへの利用をプログラムで制限する「Programmable Welfare(プログラム可能な福祉)」の実装に向けた研究開発も進められています。
メタバースの絆が生んだシステム開発
このシステムは、持病により外出困難な代表の千葉氏(仙台在住)と、大阪在住の友人が協力して開発しました。友人はメタバース経済圏のインフラ構築を目指す人物であり、今回のシステム開発で初めてエンジニアリングに取り組み、特許も出願済みです。二人は物理的に一度も会うことなく、オンラインでの連携のみで全国規模のコンテスト入賞を果たしました。「家から出られない苦しみ」を知る当事者と、世界中の利便性を追求する者が、それぞれの強みを活かして作り上げたシステムです。


今後の展望:専用アプリ開発と行政連携
現在、「そよぎ専用アプリ」の開発を目指し、操作をさらに簡略化するためのクラウドファンディングが実施されています。このモデルは、代表個人の事業収益を原資とするため、行政の初期投資は不要です。まずは仙台で成功事例を構築し、将来的には生活保護費などの削減分を成果報酬とする「SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)モデル」による行政実装を目指し、日本全体の社会保障費適正化への貢献が期待されています。
関連情報
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コンテスト受賞詳細(Note):
https://note.com/komlock_lab/n/n93a2a0cfbab3 -
クラウドファンディング(CAMPFIRE):
https://camp-fire.jp/projects/925402/view

