世界保健デーに「健康」を再考する:障害年金と社会的well-being
世界保健デーは、WHO(世界保健機関)が設立された4月7日を記念し、国際保健医療に関するテーマが毎年選ばれます。2026年のテーマは「Together for health. Stand with science」であり、エビデンスに基づく健康支援の重要性が強調されています。
WHOは健康を「身体的・精神的・社会的に良好な状態(well-being)」と定義しています。これは、単に病気や虚弱でないことだけでなく、社会とのつながりや生活の安定を含んだ包括的な概念です。現在、日本では精神疾患を有する患者数が約603万人(厚生労働省調査より)に上るとされており、メンタルヘルスの問題は、症状への治療だけでなく、医療・就労・生活保障といった社会的な支えと密接に関わっています。
社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズは、この文脈において、「必要な公的支援に、本人が無理なくアクセスできる状態」もWHOが提唱する社会的well-beingの一部であると捉え、今回の提言に至りました。
障害年金申請の「制度の壁」を乗り越える3つの提言
障害年金は、精神疾患を含む障害を持つ方の生活を支える公的制度ですが、その申請プロセスは複雑であり、専門的な知識なしに一人で完結させることは非常に難しい現状があります。同法人は、この課題認識のもと、社会に向けて以下の3点を提言しています。
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メンタルヘルス支援に「制度接続」の視点を組み込むこと
- 通院や服薬といった医療的ケアだけでなく、生活保障制度へのアクセス支援を、包括的なメンタルヘルスケアの一環として位置づける必要があります。
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医療現場と社会保障制度の橋渡しを強化すること
- 主治医が診断書作成に協力しやすい環境を整えるとともに、医療機関と社会保険労務士、相談窓口との連携体制を拡充することが求められます。
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当事者が一人で複雑な申請を抱え込まない支援体制を広げること
- 申請書類の準備から審査対応まで、専門家が伴走できる仕組みを社会全体で広げていくことが必要です。
制度が存在していても、その制度にたどり着けなければ意味をなしません。このような状況を解消することこそが、社会的well-beingの向上につながると考えられています。
571件の現場データが語る障害年金申請の実態と希望
社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズが蓄積してきた「お客様の声」571件を分析した結果、障害年金申請前後の体験として、以下の3つの実態が明らかになりました。
1. 申請を諦めてしまう「制度・手続きの壁」
障害年金申請前の悩みとして、37.3%(213件)が「制度・手続きの難しさ」を挙げました。さらに9.8%(56件)が「医師や診断書への対応」に悩んでいたと回答しており、そのうち42.9%(24件)は、診断書の作成を断られたり、非協力的な対応を受けたりしたと記しています。これは、制度の存在を知っていても、その複雑さや医療機関との連携不足によって、多くの人が申請の段階で立ち止まってしまっている現実を示しています。
2. 受給がもたらす「経済的不安からの解放」
一方で、申請が認められた後の声からは、52.2%(298件)が「経済的不安から解放された」と実感していることが分かりました。受給額の年額中央値は116万円であり、これは決して大きな金額ではありませんが、長期療養における生活の下支えとして確実に機能していることがうかがえます。「もっと早く知っていれば」という声も多く寄せられており、情報アクセスの格差が支援の届け方に直結している実態が浮き彫りになっています。
3. 当事者だけでなく家族の「心理的負担軽減」
家族について言及した記述のうち、52.2%(24/46件)で「安心した」「心が軽くなった」など、心理的負担の軽減が確認されました。障害年金の受給は、当事者本人だけでなく、支える家族の精神的なゆとりにも良い影響を与えています。このことから、制度へのアクセスが生活の安定だけでなく、症状そのものや家族関係にも好影響を与えることが示唆されます。障害年金は単なる金銭支援に留まらず、療養に向き合うための前提条件を整える支援でもあると捉えることができます。
専門家が語る「必要な人に、必要な制度が届く社会」の実現
社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ代表の宮里竹識氏は、次のようにコメントしています。
「うつ病の方にとっての『健康』は、診断名がついているかどうか、通院しているかどうかだけでは測れません。生活費の不安が大きく、手続きが複雑で、公的支援につながれない状態では、安心して療養に向き合うことが難しくなります。
WHOが健康を『身体的・精神的・社会的well-being』と定義しているなら、障害年金のような制度に適切につながれることも、その基盤の一つです。
『必要な人に、必要な制度が届く社会』の実現に向けて、現場からデータと事例をもとに発信し続けることが、私たちの使命だと考えています。」
調査概要と社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズについて
調査概要
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対象: 社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズがこれまでに蓄積した「お客様の声」データベース 571件
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分析時期: 2025年10月〜11月
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分析方法: 自社顧客を対象としたアンケート調査の自由記述をもとにした定量分析
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主な結果:
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制度・手続きの難しさ:37.3%(213/571件)
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医師や診断書で悩んだ:9.8%(56/571件)
- 上記のうち、診断書拒否・非協力:42.9%(24/56件)
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経済的不安から解放:52.2%(298/571件)
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家族に関する記述のうち心理的負担が軽減:52.2%(24/46件)
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受給額(年額)の中央値:116万円
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※本調査は同法人顧客の声を分析したものであり、公的統計ではありません。
社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズとは
社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズは、東京都千代田区に拠点を置き、代表の宮里竹識氏(特定社会保険労務士、障害年金コンサルタント)が率いる事務所です。日本で唯一の「うつ病による障害年金専門」社会保険労務士事務所として、年間400名超のサポート実績を誇ります。
主な事業内容は、うつ病による障害年金申請専門サポート、障害年金相談業務、関連情報発信です。
公式サイト:https://spartners.jp/
まとめ:誰もがアクセスしやすい障害年金制度で、心豊かな社会へ
今回の提言は、障害年金という重要な公的支援が、その複雑さゆえに多くの人々に届いていない現状を浮き彫りにしました。しかし、適切な支援があれば、経済的・心理的な負担が軽減され、当事者だけでなくその家族のwell-beingにも大きく貢献することがデータから示されています。
誰もが安心して制度につながり、心身ともに健康な社会生活を送れるよう、メンタルヘルス支援における「制度接続」の視点強化、医療現場と社会保障制度の連携、そして専門家による伴走支援の拡充が、今後ますます重要になるでしょう。この提言が、障害福祉に関わる全ての人々にとって、より良い未来を築くための一歩となることを期待します。

