冬季のメンタル不調、約7割が自覚する実態

就労支援事業を展開するメンタルヘルスラボ株式会社が、就労移行ITスクールと自立訓練ITリワークの利用者を対象に行った「季節の変化とこころの健康に関する実態調査」の結果を公開しました。この調査により、利用者の約72%が冬場を中心とした季節要因による不調を自覚していることが明らかになりました。

調査の背景と目的

この調査は、気温低下に伴う利用者の「理由が明確でない欠席やパフォーマンス低下」の背景に、冬季うつ(季節性情動障害)を含む季節特有の心身変化がどの程度影響しているかを明らかにすることを目的として実施されました。冬季の不調が「甘え」や「怠け」と誤認されがちな現状に対し、客観的な実態を可視化し、個人に帰するのではなく組織や社会全体で予防・対応できる環境づくりに寄与することを目指しています。

調査結果のポイント

調査結果のサマリーは以下の通りです。

  • 一年の中で通所が最も億劫に感じる時期は、冬と回答した人が過半数(50.7%)を占めています。
  • 約72%の利用者が季節要因による不調を自覚しています。
  • 冬季うつ(季節性情動障害)という言葉自体の認知度は約半数にとどまり、44.3%の人が「知らなかった」と回答しました。これは、適切な情報提供と理解促進の重要性を示唆しています。

「冬季うつ」の認知度と冬の心身の変化

調査から、「冬季うつ(ウィンターブルー)」という言葉やその特徴(寝すぎる、食べすぎるなど)について「知らなかった」と回答した人が44.3%に上ることが判明しました。

「冬季うつ(ウィンターブルー)」の認知度

冬に気分の落ち込みや意欲低下、生活リズムの乱れを自覚しているにもかかわらず、自身の状態を「冬季うつ」と認識していない人が多い実態が浮き彫りになりました。これにより、体調や行動の変化を自身の努力不足や意志の弱さと捉え、自責の念を抱く懸念があるため、正しい情報提供と理解の機会を設けることが重要だと考えられます。

また、冬の時期に睡眠の状態について「いくら寝ても眠い、起きられない」と感じる人が47.1%と多数いました。

冬の睡眠状態の変化

さらに、一日のうちで最も気分が落ち込んだり「体の動かしにくさ」を感じる時間帯は「起床時〜午前中」が52.9%と過半数を占めています。

一日のうちで体の動かしにくさを感じる時間帯

これらの結果から、冬の朝は特に心身の不調を感じやすく、就労支援の現場では、利用者が困難な状況で来所できたことへの承認や共感といった「過程の承認」が重要であると示唆されています。

通所が億劫に感じる時期と理由

一年の中で通所が最も億劫に感じる時期は、冬(12〜2月)が50.7%と過半数を占めました。

一年の中で通所が最も億劫に感じる時期

通所が億劫に感じる理由として、回答者の約72%が「冬の寒さ・日照不足による不調」や「夏の暑さ・多汗・体力消耗による不調」といった季節要因による不調を自覚していることが明らかになりました。

通所が億劫に感じる理由

メンタル維持に効果的なアプローチと支援への要望

寒い時期のメンタル維持に効果があると感じる工夫について尋ねたところ、「温かい飲み物や食べ物を摂る」(67.1%)や「意識的に日光を浴びる」(45.7%)など、身体的なアプローチが心理的なアプローチ(スタッフや身近な人に相談する:28.6%)を上回る結果となりました。

寒い時期のメンタル維持に効果的な工夫

また、冬の時期に支援スタッフや周囲の人にどのような配慮や声掛けがあると「助かる」と感じるかについては、「暖房の調整や寒くないかの声かけ」や「起床時の様子確認や寒さへの共感の言葉」がそれぞれ9件ずつ挙げられました。

支援スタッフや周囲の人への要望

これらの結果は、室温管理や、寒い中で来所できたことに対する承認の声かけが、利用者にとって非常に重要であることを示しています。

まとめと今後の展望

この調査結果を踏まえ、メンタルヘルスラボは、季節要因を考慮した支援方針の明確化や、室温管理、乾燥対策、日照条件を考慮した座席配置など、冬季においても安定した活動が可能となる環境整備を段階的に推進していく方針です。また、寒い中でも来所できたという行動そのものを努力過程として捉え、結果に偏らない評価と声掛けを行う支援姿勢を職員間で共有するとしています。

メンタルヘルスラボは、今後もこれらの取り組みについて定期的な検証と改善を重ね、冬季特有のリスクを未然に把握・軽減し、支援対象者が安心して日常生活および社会参加を継続できる、持続可能な支援体制の構築を目指していくとのことです。

メンタルヘルスラボ株式会社について

メンタルヘルスラボ株式会社は、「メンタルダウンしない世界を創る」というビジョンのもと、福祉事業、メディア事業、HR事業、Saas事業を展開しています。福祉事業では、「障害という線引きをなくす」というミッションを掲げ、IT特化型就労移行支援や児童発達支援事業などを展開しています。


≪PR【carecollabo】ご利用者にかかわる記録を集約・共有≫

findgood

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77