初回相談の課題を解決する「ことばの見立てシート」

子どもの言語発達やコミュニケーションに関する初回相談では、保護者が子どもの「困りごと」を伝える際、限られた時間の中で重要な情報が抜け落ちてしまうことがあります。例えば、「どんな場面で困りごとが起きやすいか」「どんな関わり方が助けになったか」といった具体的な情報が不足しがちでした。

その結果、初回相談が状況把握のみで終了し、次の支援ステップに進むまでに時間を要するケースが少なくありませんでした。このような情報の抜け漏れを防ぎ、相談の初回から実効性のある支援検討を可能にするために、本シートは開発されました。

シートの3つの特徴

言語聴覚士が作成した「支援につなげる ことばの見立てシート」のイメージ

【1】困りごとを「場面・条件・具体例」で整理

未就学児から小学生を対象としたこのシートは、日常の観察を構造化して記入できるA4一枚のフォーマットです。診断ツールではなく、保護者と支援者が子どもの様子を共有しやすくするための整理シートとして活用できます。

【2】「困り」だけでなく「条件」と「工夫」まで同時に可視化

一般的な問診票が困りごとの列挙に留まるのに対し、このシートでは以下の3点を同時に整理できます。

  • 困りの内容:何に困っているか
  • 起きやすい条件:いつ、どこで、どんな時に起きるか
  • 助けになる工夫:どんな関わりや環境で改善するか

これにより、子ども本人の能力だけでなく、環境調整や関わり方の改善に直結する情報を得ることが期待されます。

【3】想定する悩みの範囲

シートでは、以下のような悩みを想定して情報を整理できます。

  • 言葉の理解(指示が通りにくい、など)
  • 言葉の表出(言葉が出ない、語彙が少ない、など)
  • やりとり(会話が続かない、一方的、など)
  • 話し方の特徴(どもる、つまる、など)
  • 発音の不明瞭さ
  • 読み書きの困難

※このシートは診断を目的としたものではありません。困りが強い、長期化している、複数の環境で見られる場合は、専門機関への早期相談が推奨されます。

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想定される利用シーン

保護者

  • 専門家や療育機関への相談時に持参する資料として
  • 事前に情報を共有することで、相談時間を有効活用
  • 家庭内での子どもの観察や関わり方の整理に

施設・教育機関

  • 療育センター、放課後等デイサービス、保育園・幼稚園・学校での情報共有ツールとして
  • 共通フォーマットとして活用し、連携をスムーズに

無料公開と今後の展望

「支援につなげる ことばの見立てシート」は、2026年1月24日より無料で公開されています。ダウンロードは、「いわたコトバのそうだん室」のInstagramおよびnoteから可能です。

対象年齢は未就学児から小学生が目安で、A4サイズのPDFダウンロード形式で提供されています。

今後は、このシートを保育園、学校、療育施設、医療機関など、子どもの言語発達に関わる各機関に広く配布し、地域の相談窓口で共通フォーマットとして活用できる仕組みを構築していく予定です。将来的には、地域全体で子どもの言語発達支援をシームレスに連携できる体制づくりを目指しています。

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いわたコトバのそうだん室について

「いわたコトバのそうだん室」は、言語聴覚士の岩田よしき氏が代表を務めています。岩田氏は幼少期から吃音を持ち、言葉に悩む子どもたちを支えることを専門としています。総合病院勤務を経て「いわたコトバのそうだん室」を開設し、川崎市を拠点に乳幼児から学齢期の言語発達遅滞、発音のつまずき、吃音に加え、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害児のコミュニケーション支援を行っています。保育園や放課後等デイサービス、児童発達支援施設との連携支援、オンライン相談、教材監修、研修講師など、多岐にわたる活動を展開しています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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