2026年3月1日、扶桑社より絵本『ぼく、野球がやりたい!―ユニバーサル野球ができるまでー』が発売されます。この絵本は、車いすの少年の「野球がしたい」という純粋な願いから始まり、年齢や性別、障がいの有無を超えて「みんなが一緒にできる野球」として誕生した「ユニバーサル野球」の実話に基づいた物語です。

「ぼく、野球がやりたい!」一言から始まった夢

物語は、2017年に特別支援学校に通う野球が大好きな少年が発した「ぼく、野球がやりたい!」という一言から始まります。この少年の願いを叶えたいと願った開発者との出会いをきっかけに、「誰もが一緒にできる野球」づくりが動き出しました。

ユニバーサル野球誕生のきっかけ

試行錯誤の末に生まれた「みんなの野球」

少年の願いを実現するため、開発者はボールを打てるバットの仕組みを考案し続けました。当初のボタンで動くバッティング装置では難しさがありましたが、理学療法士や作業療法士の協力も得て、障がいのある人の手の動きを研究。押す力よりも引く力が強いという発見から、新たなバッティング装置へとつながりました。実際の野球場の1/20の大きさの球場が作られ、試行錯誤の末に、障がいのある子どもでもバットをスイングし、ホームランが打てる仕組みが完成しました。

開発の試行錯誤

そして、多くの人から応援されながらバッターボックスに入り、ホームランを打つ喜びを体験。「野球ができて、うれしい!自分が打てるのもうれしい!」という感動が、「みんなの野球」=「ユニバーサル野球」として多くの人に広がっていきました。

ホームランの喜び

絵本に込められたメッセージと工夫

本書は、物語として楽しめるだけでなく、実際に誰でもプレーできる「ユニバーサル野球」の写真やルール、学校現場でも導入しやすいQ&Aが巻末に収録されています。現在、多くの小学校や特別支援学校でユニバーサル野球を活用した授業が行われています。

さらに、本書に挿入されたQRコードを読み込むことで、スマートフォンから絵本の読み聞かせ音声を再生できる仕組みが導入されています。これにより、読むことが難しい子どもや、視覚・発達に特性のある子どもも含め、すべての人が同じ物語体験を共有できる絵本を目指しています。

「ユニバーサル野球」が目指す共生社会

「ユニバーサル野球」は、年齢、性別、障がいの有無でスポーツを分けるのではなく、道具やルールを工夫することで、誰もが同じ場所で、同じ時間を共有できるという発想から生まれました。実際に野球をプレーする喜び、そして応援し、応援される体験は、分け隔てなく誰もが楽しめるスポーツの可能性を示しています。今日もどこかで「ユニバーサル野球」が開催され、共生社会の実現に向けた取り組みが続いています。

書誌情報と予約方法

  • 書名:ぼく、野球がやりたい!
  • 副題:ユニバーサル野球ができるまで
  • 原案:中村哲郎
  • 文・絵:山田花菜
  • 定価:1760円(税込)
  • 判型:B5変形上製/32ページ
  • 発売日:2026年3月1日
  • 発行:(株)扶桑社
  • ISBN:978‐4‐594‐10131‐2

本書は全国の書店、ネット書店にて予約受付中です。

著者紹介

  • 原案:中村哲郎
    北海道生まれ。甲子園最多出場校・北海高校野球部出身。東日本大震災のボランティアをきっかけに障がい者スポーツに携わり、ユニバーサル野球の開発に着手しました。上級パラスポーツ指導員として、さまざまなスポーツ活動を支援しています。
  • 文・絵:山田花菜
    神奈川県生まれ。『みみたぶちゃん』、『おいしい行事の絵本シリーズ』、『野球しようぜ!大谷翔平ものがたり』など、多数の絵本作品を手がけています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77