「つながらない」電話リレーサービスを、つながる社会インフラへ
聴覚障害者等が電話を通じて意思疎通を行うための重要な社会インフラである電話リレーサービスにおいて、現在、発信者番号が050から始まる番号で表示されることに起因する課題が浮上しています。この「つながらない」現実に対し、特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスターは2026年1月19日、総務省に対し制度改善を求める要望書を提出しました。
050番号が原因で生じる深刻な問題
電話リレーサービスを利用して発信すると、着信先には050番号が表示されます。しかし、この050番号が営業電話や自動音声案内と誤認されやすく、以下のような事例が少なからず発生しています。
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病院や自治体、企業などの重要な連絡先であっても電話に出てもらえない
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通話途中で切られてしまう
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折り返し(コールバック)が来ない
これらの問題により、当事者が本来電話で行えるはずの意思疎通の機会そのものが失われ、日常生活に深刻な影響を及ぼしています。
当事者の切実な声「自分の番号を表示したい」
こうした状況を受け、聴覚障害当事者からは以前より、「自分が実際に所持している携帯電話番号(090/080等)を表示できないか」、いわゆるワンナンバー制を求める声が挙がっていました。これは単に利便性の向上を目的としたものではなく、番号表示の段階で不信感を持たれ、通話自体が成立しない現状を改善したいという切実な要望です。
制度上の「例外規定」に改善の余地
事業用電気通信設備規則(第三十五条の二の六)には、発信回線と異なる番号表示について原則を定めつつも、「ただし、他の利用者に対し、発信元を誤認させるおそれがない場合は、この限りでない」という例外規定が存在します。実際、固定電話(0AB〜J番号)を中心に、本人確認やコールバックが可能であること、契約関係が確認できることといった条件を満たす場合に、発信回線と異なる番号表示が認められてきました。しかし、電話リレーサービス(050番号)においては、この例外規定がどのように適用され得るのか、制度的な整理が十分になされているとは言えない状況です。
要望の概要
特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスターは、今回の要望書において主に以下の点を訴えています。
- 電話リレーサービスにおける発信者番号表示について、事業用電気通信設備規則の「例外規定」がどのように適用され得るのかを整理・明確化すること。
- 本人確認・コールバック確保・誤認防止を前提とした場合、利用者本人の電話番号を表示するワンナンバー的運用が検討対象となり得るかを示すこと。
- 利用当事者、事業者、関係団体との対話を通じて、発信者番号表示と運用のあり方を検討する場を設けること。
社会インフラとしての機能強化へ
同法人は、電話リレーサービスが公的インフラとして制度化される過程で、総務省からヒアリングを受け、利用当事者の立場から意見や課題認識を伝えてきました。今回の要望は、制度そのものを否定するものではなく、制度が実際に「使われる段階」に入ったからこそ見えてきた課題を、既存の法令・制度の枠組みの中でどう改善できるかを問いかけるものです。
理事長は、「電話リレーサービスは、単に『制度がある』だけでは意味がありません。必要な相手と、必要なときに、きちんとつながることができて初めて、社会インフラとして機能していると言えます。050番号だからという理由だけで電話に出てもらえない、切られてしまう現状は、当事者にとって非常につらい体験です。法律にはすでに『例外』を認める余地があります。その例外を、実際に困っている人のためにどう活かせるのか。制度を一歩前に進める議論が始まることを期待しています。」とコメントしています。
関連情報
- 総務省へ提出された要望書(SlideShare): https://www.slideshare.net/slideshow/050-7655/285301716
団体概要
特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスターは、情報・コミュニケーションにおける社会的障壁の解消を目的に、行政・企業・メディアと連携しながら、調査・提言・啓発活動を行っています。
- Webサイト: https://www.infogapbuster.org/

