12歳の作者が描く「うそとまことの国旗展」
作者の宮田悠生さんは、自閉スペクトラム症と知的障がいがある今治特別支援学校中学部1年生です。社会福祉法人来島会が運営する放課後等デイサービス「なかよし学童くらぶ」を利用しながら、創作活動に取り組んでいます。
本展示の最大の特徴は、会場を埋め尽くす200点以上の国旗の多くが、実在する国と作者が創作した国とをあえて区別せずに並べられている点です。それぞれの国旗には国名や国土面積、人口、首都、公用語などの説明が添えられていますが、それらが「本当」なのか「嘘」なのかは明かされません。来場者は、展示された国旗や解説に対して「これは本当?」「それとも物語?」と問いかけながら、自由に解釈できる体験型の展示となっています。
日常生活では否定的に捉えられがちな「嘘」ですが、本展ではそれを否定せず、創造性や空想力の出発点として前向きに捉え直す試みがなされています。「本当か、嘘か」という二択ではなく、そのあいだに広がる豊かなグラデーションを体験できるでしょう。また、会場内には来場者がオリジナルの国旗を制作できる自由工作スペースも併設されており、鑑賞から得たインスピレーションを形にすることができます。
想像力を育む「だんだんBASE」ギャラリーシリーズ
本展を主催する社会福祉法人来島会は、障がいの有無にかかわらず、一人ひとりの「好き」や「表現」が社会とつながるきっかけになると考え、創作活動の発表の場づくりに取り組んでいます。本展の会場となる「だんだんBASE」では、2025年度より、法人の各施設利用者による創作活動を紹介する「ギャラリーシリーズ」を継続的に開催してきました。
これまでに開催された展示会の中には、NHK全国放送や企業との交流につながったものもあります。例えば、「葵電機展」では10歳の自閉症の少年によるエアコンのみを描いた作品群が注目を集め、パナソニック株式会社 空質空調社による出前授業や工場見学が実現しました。他にも、ダウン症と向き合いながら制作を続ける作家による「藤原大輝展」や、空間全体で世界観を体験する「コミカルイラスト展 〜THE WORLD OF RIKU SAKAMOTO〜」など、多様な個展・企画展が実施されています。
「うそとまことの国旗展」は、これらの取り組みの延長線上に位置づけられ、作者独自の視点と発想をそのまま表現として社会につなげていくことを目的としています。
開催概要
- 展覧会名: うそとまことの国旗展
- 開催期間: 2026年2月28日(土)、3月1日(日)、2日(月)、7日(土)、8日(日)、9日(月)
- 開催時間: 10時~15時
- 会場: だんだんBASEギャラリー(愛媛県今治市高市)
- 主催: 社会福祉法人来島会
- 関連リンク: https://www.imabari-parabiennale.com/
社会福祉法人来島会について
社会福祉法人来島会は、1994年(平成6年)に設立され、知的障害者入所更生施設「今治福祉園」の開設とともに活動を開始しました。障がいのある方の多様なニーズに応えるトータルサポートグループとして、地域に根ざした福祉サービスを展開しています。現在では、障がい者福祉事業に留まらず、児童福祉事業や高齢者福祉事業、公益事業(委託事業)など多岐にわたる分野で、21施設・55事業を運営しています。「すべての人が『障害』を感じることなく、自分の意思で質高く暮らすことのできる地域社会の実現」をビジョンに掲げ、地域社会に適応したサービスを提供し続けています。



