福祉事業所が運営するカフェ「magnet」と喫茶店「店員が気まぐれな喫茶ミムロウ」が、新たな一歩を踏み出しました。特定非営利活動法人障がい者みらい創造センターは、これらの店舗の更なるサービス向上を目指し、株式会社IMOMとの提携を発表しました。

この提携の背景には、障害者の社会参加と雇用促進に関する課題があります。令和3年度の日本の福祉事業所での平均工賃は1万6,507円と、最低賃金との大きな差が存在しています。障がい者みらい創造センターは、この状況を改善し、障がいのある方々が自分らしく働き、適正な報酬を得ることを目指してきました。

しかし、オープンから数年経った今も赤字経営が続き、カフェ経営に苦戦していました。そこで、福祉事業所の運営とカフェ経営の両立に成功しているIMOMとの提携が実現しました。この提携により、サービスやメニューの改善を行い、2024年度中に全国平均工賃の150%以上を目指すという具体的な目標が設定されました。

IMOMは「誰もが生きやすい、寛容な社会をつくる」という理念のもと、愛知県内で就労継続支援B型施設を5拠点、スペシャルティコーヒーショップを4店舗運営しています。特筆すべきは、IMOMのコーヒーショップが月間2万点以上の商品販売実績を持ち、日本一の焙煎技術を誇ることです。

カフェ「magnet」は、専門店監修のコーヒーや紅茶、日本茶、食事が楽しめるおしゃれな空間です。軽度知的障がい者が一般就労を目指して働いており、クロッフルやパフェなどのデザートが人気を集めています。

カフェmagnet
住所:名古屋市瑞穂区苗代町26-5  
TEL:052-627-8333
営業時間:10時半~17時(ラストオーダー:16時半)
定休日:水
フリーwi-fi、コンセントフリー、駐車場10台あり

一方、「店員が気まぐれな喫茶ミムロウ」は、知的障がいのある方が支援者とともに働く喫茶店です。「1日中モーニングサービスがある」という特徴的なサービスを提供し、レトロな雰囲気の中で小倉トーストや自家製プリン、クリームソーダなどを楽しめます。

店員が気まぐれな喫茶ミムロウ(8月1日オープン予定)
住所:名古屋市瑞穂区下坂町1-41  
TEL:052-627-9711
営業時間:7時~17時(ラストオーダー:16時半)
定休日:水・日
フリーwi-fi、コンセントフリー、駐車場・提携駐車場あり

この提携により、IMOMの経営ノウハウとコーヒー技術を活かし、両店舗のメニューやサービスの改善が期待されます。障がい者の方々が、より良い環境で働き、適正な報酬を得られるよう、カフェ経営の黒字化と障がい者の仕事創出を目指します。

この取り組みは、単なるビジネス提携にとどまらず、障がい者の社会参加と雇用促進、そして社会全体のダイバーシティ&インクルージョンの推進に寄与する重要な一歩となるでしょう。今後の展開に注目が集まります。

障がい者みらい創造センターについて

理事長竹内亜沙美が名古屋市内の特別支援学校で教諭として勤務していた際に自身が難病に。治療法全てに失敗をし、死と向き合った経験から人生が有限であることを痛感。残りの命をどう使いたいか考えた際に知的障がい者への差別をなくし、障がいの有無に関わらず豊かに生きられる社会にしたいと思い公務員を退職して起業。現在6期目で名古屋を中心に12拠、300名を超える障がい者を支援している。

会社名:特定非営利活動法人障がい者みらい創造センター
所在地:〒457‐0046 愛知県名古屋市南区松池町1丁目19番地
代表者:理事長 竹内亜沙美
設立:2017年2月
URL:https://mirasen.org
事業内容:障がい児就労支援教室運営・生活力向上型ショートステイ運営・・リゾート型ショートステイ運営・カフェ併設型移行支援事業所運営・カフェ併設型就労継続支援B型事業所運営・定着支援事業所運営・訪問ヘルパー事業所運営・障がい者雇用コンサルティング・障がい理解に関する講師講演

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77