33歳のひまりは、おしゃべりと食べることが大好きな女性。ある夏の日、出張帰りに交通事故に遭い、頚髄を損傷してしまう。意識は明瞭なのに、身体だけが動かない。過酷なリハビリを続けるも、復職の夢は潰え、「復職は約束できない。できればこのまま退職してほしい」と現実を突きつけられる。
途方に暮れたひまりが役所で就労支援の相談をすると、すすめられたのは生活保護の申請だった。「私は人の役に立てるのに、どうしてその力を発揮させてもらえないの?」と葛藤する中、自立を目指し司法試験受験を決意する。
鉛筆も握れず、六法全書も開けない身体でロースクールに通い始めるが、次々と壁が立ちはだかる。それでも「言葉は私の最後の砦。言葉がある限り、私たちはつながれる」と信じ、言葉だけを味方に司法試験突破を目指す。
著者について
1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身。宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』『縁切り上等!』『女の国会』などがある。
- 出版社 : 幻冬舎 (2024/11/13)
- 発売日 : 2024/11/13