視覚障害を抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、仕事ができない、続かないという悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、全盲で通勤経路に配慮が必要、弱視でパソコンが見えづらい、視覚狭窄で作業に時間がかかってしまうなど、疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じように視覚障害を抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは130人の視覚障害がある方の口コミをもとに

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・仕事探しはどのように行ったのか

といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や職場について悩むこと、不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を解決のヒントとしていただけますと幸いです。

目次

  1. 視覚障害とは
  2. 視覚障害がある方が抱える仕事内容に関する悩みとその対策
  3. 視覚障害のある方が抱える通勤や移動に関する悩みとその対策
  4. 転職や就活では視覚障害をオープンにするかクローズにするか
  5. 転職や就活の参考に、視覚障害のある方におすすめの企業
  6. 求人の見つけ方
  7. 企業情報の集め方
  8. 最後に

1.視覚障害とは

人間の感覚には味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚、平衡感覚などがあると言われていますが、このうち「視覚」に障害がある場合を視覚障害と呼びます。
~中略~
視覚障がい者の中で障害の程度が最も重い1級の人の数は10万5千人。しかし、1級の場合でも、わずかに見えている人もいます。ですから「全盲」(全く見えない方で、視覚では明るいか暗いかの判別ができない)の方よりもはるかに多くの視覚障がい者が「弱視(ロービジョン)」(目が不自由だけれどもある程度は見ることのできる)です。WHOのロービジョンの定義は、「両眼に眼鏡をかけた矯正視力が0.05以上0.3未満」となっています。後述しますが、その見え方は千差万別です。これが、多くの誤解を生む原因ともなっています。
視覚障害はひとりひとり違う:見え方がそれぞれ違うということは、困っていること(ニーズ)がそれぞれ違うということです。視覚障がい者をサポートする場合、あるいは誰もが住みやすい社会を考える場合、必要な視点は1つではない、と知る事が大切です。

参考:公益財団法人 関西盲導犬協会 ホームページより

さらに、このホームページには詳しく書かれていますので一部抜粋して紹介します。

・視覚障害の程度による区分
身体障害者手帳(視覚障害)には1級から6級までの等級があり、1級が最も重度の視覚障害です。

・先天性と後天性
先天性とは、生まれつき視覚に障害があること。後天性とは、人生の半ばで視覚に障害をもつことです。

・見え方(範囲によるもの)
疾患によって見える範囲(視野)が制限される現象を、視野障害と言います。

・時間帯や光の加減によるもの
視覚障害によっては、まぶしさを非常に強く感じたり、光の加減によって見え方がまったく違ったりすることがあります。

このように、視覚障害といっても視野欠損や弱視の方、全盲の方など、一人ひとりの状態は異なります。今回は、症状の違いによって生じる悩みに注目し、その工夫や対策を紹介することで、今後のお仕事をする際のヒントになればと考えております。

2.視覚障害がある方が抱える仕事内容に関する悩みとその対策

見え方は、仕事内容や業務の遂行に大きく影響するため、その症状により異なる悩みが生じます。 ここからは

  1. 視野欠損や視野狭窄、弱視、斜視など「見えづらい状態の方」
  2. 全盲などの「見えない状態の方」

それぞれの視点で、

  • 悩み
  • ご自身による対策や工夫
  • 職場から得られると嬉しい配慮
  • 配慮のある職場で働くための対策に

これらのポイントを絞って紹介していきます。

2-1.業務に関する職場での悩み(①見えづらい状態の方)

まずは、弱視、視野欠損、視野狭窄など視覚障害のある方の中でも「見えづらい状態の方」の悩みをみてみましょう。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。