【内容情報】(出版社より)
臨床で感じた発達障害に関する疑問にエキスパートが答えます。子どもも大人も,診断も鑑別も,治療も対応も,発達障害で困ったら, 本誌で答えが見つかります。
発達障害に関する98の疑問に専門家が回答しました。
「特集にあたって」より
発達障害という言葉が,最近では一般に浸透したと言える。日常用語になってきた一方で,使用する人によって指し示す内容にいくらかの相違があるのも事実である。どのような文脈で用いられるかにも留意する必要があろう。
また,以前に考えられていたより頻度が高いことも共通認識になっていると思う。(中略)知的発達症をはじめとするその他の発達障害を含めると,発達障害全体で頻度は10%以上と思われる。診断基準に達しないものの発達障害と連続する発達特性があって一定の配慮を要する者も含むと,その頻度はさらに高くなるだろう。大人の発達障害もまれではなく,発達障害はすべての精神科医にとって患者理解に必要な視点の1つと思われる。
発達障害の理解と支援にあたっては,発達的な観点が重要である。発達障害は脳機能の発達の障害なので,決定的であって変化の余地がないと感じるかもしれないが,そうではない。発達の経過で遭遇する環境要因との相互作用によってその状態は変化していく。環境要因としては逆境体験が注目されがちであるが,保護的であったり発達促進的であったりするものもあり,それを活かす支援も有用である。どれくらいの発達水準なのか,どのような発達課題に直面しているのかなどを把握しておくことも,支援の参考になる。ある発達段階における家庭や学校などの環境という横断面と発達の軸に沿った縦断面の両方の見方の組合せが理解を深めると思わる。(後略)
質問の一部をご紹介
Q1.発達障害の定義はどのようになっていますか?
Q7.グレーゾーンという言葉を聞きますが,どう考えたらよいのでしょうか?
Q22.クリニックで発達障害を疑われる患者さんへの対応のコツを教えてください。
Q37.単身で受診した大人で情報がない場合に発達障害と診断するポイントを教えてください。
Q56.発達障害とゲームの関係について教えてください。
Q88.ADHD治療薬は妊娠中に継続しても大丈夫でしょうか?
- 出版社 : 医学書院
- 発売日 : 2023/5/29
- 雑誌 : 336ページ