【内容情報】(出版社より)

1999年に開始した精神科病院へのぶらり訪問は、「精神医療オンブズマン制度」として2003年に大阪府の制度となった。2009年からは療養環境サポーター制度として、現在まで訪問活動を継続しており、入院中の方の声や訪問活動の内容を中心に報告書にまとめ情報公開を行っている。訪問先の病院が「扉よひらけ7」(2015年)の発行から1巡し、新たに8冊目の報告書を発行する。
精神科病院のかかえる数々の問題(長期入院、社会的入院、閉鎖病棟、強制入院、隔離・身体拘束、暴行・虐待)の中でも「閉鎖性」「密室性」は、偏見や差別を助長し、問題をより複雑にし、社会からの「隔絶」をいっそう深刻にしている。これは精神科病院で働くスタッフだけが問題ではなく、病院の構造や治療に対する文化、社会の構造が変わっていかなければ、解決することはない。
精神科病院の内部がもっと情報公開されれば、入院している人への暴力や人権侵害に歯止めをかけることになる。精神科病院のありのままを第三者がレポートすることで、入院中の方にも、病院を探している方も、「安心してかかれる精神医療」を自分で選ぶことができる。
私たちは、精神科病院の「閉鎖性」「密室性」に大きな風穴を開け、精神科病院の構造そのものに変化を起こす風を入れたい、全ては人間として当たり前の権利のためにという思いで取り組んでいる。
療養環境サポーター報告では、訪問した大阪府内57病院について、次のとおりレポートする。
・積極的な取り組みなど
・前回の訪問から改善されていた点
・病院全体について
・病棟の様子
・入院中の方の声
・検討していただきたい事項
・おたずね
・精神保健福祉資料より、入院中の方の集計データ

■目次
私たちが精神科病院への訪問活動を続ける理由
精神科病院への訪問活動の紹介/解説
精神科病院への訪問活動の発足経緯、変遷と課題について
療養環境サポーター報告
訪問活動にかかわる人たちの声
630調査~精神保健福祉に関する資料(2019年・2009年)~
精神科病院の情報公開について
公開された病院のデータから(2019.6.30時点)
職種別職員数一覧表(2019.6.30時点)
公開された病院のデータから(2009.6.30時点)
職種別職員数一覧表(2009.6.30時点)
憲法と医療保護入院
憲法、刑事法、行政法から見た医療保護入院の問題点
法的に見ると矛盾だらけ~民法の観点から医療保護入院の問題を考える~
増え続ける医療保護入院の実情~精神医療政策から考える~
本人や家族が負担や困難を抱え込まないためにも~医療保護入院の背景を考える~
病院との関係をどのように築くか
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第 37 条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準

  • 発売日 : 2021/1/31
  • 大型本 : 270ページ
  • ISBN-10 : 4991181003
  • ISBN-13 : 978-4991181009
  • 出版社 : 大阪精神医療人権センター
  • 言語 : 日本語

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。