【内容情報】(出版社より)
2021年2月号の特集で紹介したトラウマ・インフォームドケア(TIC)は「,患者さんのもっている『尊厳の核』みたいなものを案外と無造作に扱ってないか」という問題提起を含むものでした。精神科病院のなかでは尊厳を毀損しかねない契機がいくつか存在します(行動制限や,ときに不合理な規則,かかわりの拙さなど)。尊厳を粗雑に扱われることによって何が失われるか。端的に言ってしまえば,患者さんの自信だと思います。自分をとりまく環境が「ダメな私」を証明するためにあるかのように感じられる療養生活は,患者さんに希望を与えません。まして,そこからリカバリーの発芽など望めないでしょう。2021年3月号の特集はこうした観点から「,患者の“自信”を削がない環境と看護」を考えてみたいと思います。具体的には「,すでに多くの部分で失われた患者さんの自信を,看護によってより損なわれることのないようにすること,またその自信を取り戻す看護を提供する」となります。
本特集では,看護部長の立場から尊厳を傷つけない環境づくり,全人的観点からみた場合に身体拘束が患者にもたらす影響,リカバリーの過程で自尊心が損なわれないことの重要性や,個人を尊重するための協働―ケア提供者と患者の対等な関係の確保を含む―を紹介していただきました。緊張を強いられる昨今の臨床だからこそ,あらためて「自信」や「尊厳」について考えたいと思います。
(編集部)
- 発売日 : 2021/2/20
- 単行本(ソフトカバー) : 80ページ
- ISBN-10 : 4862942474
- ISBN-13 : 978-4862942470
- 出版社 : 精神看護出版
- 言語 : 日本語