【内容情報】(出版社より)

筆者は教育相談担当教師として今までの事例を概観し,チーム援助のコーディネーターが重要であることに鑑み,博士論文の研究テーマとして,問題を抱えた生徒援助のためのコーディネーターの役割を検討しました(石川,2012)。その後,筆者の研究と同じく文部科学省(2015)は,「チームとしての学校」をかかげ,2017年教育相談コーディネーターの設置を定め,生徒指導・教育相談の課題である困難をかかえた児童生徒について,複数の専門家によるチーム援助を進めるよう述べています。博士論文を書き終えて10年,文部科学省が「チームとしての学校」をかかげ8年たちました。実践家である筆者はその後学校現場がどうなっているか明らかにしなければならないという思いになりました。「チームとしての学校」のよかったこと,問題点も明らかにし,建設的なものにしなければ思い執筆しました。

本書は,これから専門家を目指す人,すでに専門機関で働いている方たちに,一歩でも先が見えるようにと考えて書きました。そればかりでなく,これから父母になる人,そして地域で社会を支える方々にも向けて書きました。社会の暗い話や現場の耳障りな話を聞かない方が,気が楽かもしれません。

しかし,現在の日本の社会がかかえている問題は,基本的で一般的なこと,普遍的なこと,つまりアカデミックな概念のみでは解決できない状況にあると思います。子どもたちは,一人ひとり多様であり,特定のかかわりや特定の環境において成長しているのです。子どもたちは一人ひとり special で,異なる原理や専門性を組み合わせ対応するのが現実の教育の姿です。つまり,多くの専門家・非専門家の人々の力を必要としていると考えます。

逆にいえば,子どもを含む日本人一人ひとりが大切にされるすばらしい社会ができつつあるのだと思います。その社会的責任を,医師・警察少年部門の専門家・児童相談所の専門家・教師・そして多くの人々が,担っていると考えると誇らしい思いもします。

本書を執筆にあたっては,名古屋大学大学院の後輩である長谷守紘さん、岐阜大学大学院を修了された加藤好広さんです。そして,名古屋大学大学院の先輩で,量的研究の専門家である松本みゆきさんです。松本みゆき先輩以外は,みなさん教師経験のある方です。学校を知っていて,研究方法がわかる仲間がそろい困難をかかえた児童生徒のための「チームとしての学校」の実態を明らかにすることができました。

子どもは一人ひとり special であるからこそ,一人の専門家だけでは,子どもの問題を解決できないと考えます。本書を通して,皆様に校外専門家・学校の実態を理解していただくことにより,社会全体で子どもたちの未来を築いていけるのではないかと思います。本書がその一助になればと考え執筆致しました。

  • 出版社 ‏ : ‎NextPublishing Authors Press
  • 発売日 ‏ : ‎2023/3/10
  • オンデマンド (ペーパーバック) ‏ : ‎251ページ

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。