【内容情報】(出版社より)
弱視難聴の著者が全盲女性とともに英国を旅をする中で、著者の中にある「障害者」という規範意識から解放されていく様子を綴った。
「私は視覚障碍者なのだから、こうあらねばならない」
という、ねばならない論から脱却し、様々な人の手助けを効果的に活用する多他者依存モデルを構築していく。
また、旅の中でお話を聞いたバーミンガム大学における視覚障害教育の教員養成やリーズ大学での障害学生支援、当事者団体が行う教育支援等の4つのインタビューを収録。
さらに、「規範意識からの解放」というテーマでの寄稿コラムもある。
弱視難聴の著者が全盲女性とともに、どんな英国旅をしたのか、そして、障害者として生きる上での心理的葛藤の1つとなっている規範意識について、面白がって読んでもらえれば幸いだ。
【こんな方におすすめ】
・視覚障害特別支援学校(盲学校)等の教職員の方や視覚障害教育に興味・関心のある方
・社会福祉分野、同行援護サービス提供者、ガイドヘルパー、点訳・音訳ボランティア等で、障害者支援に興味・関心のある方
・イギリスの観光に興味のある方
・弱視難聴(盲ろう)の人の心理に興味のある方
・イギリスでの教員養成や障害学生支援に興味のある方
・障害児のご家族の方
・全盲の人の歩行や触覚、聴覚活用等に興味のある方
・弱視(ロービジョン)の見え方や視覚活用に興味のある方
・規範意識という道徳的感情がどのように中途障碍者の私に影響を及ぼしたのか興味のある方
・難聴(オーディトリーニューロパシー)の聞こえ方や日常、会話におけるコミュニケーションに興味のある方
・白杖とICTを活用した移動方法に興味のある方
・体験談やエッセイを読むことが好きな方
【著者の想い】
私は17歳のときに視神経萎縮による弱視(ロービジョン)と眼科医に障害告知を受け、その後、様々な方々の支援を経て、筑波大学で障害科学の博士(障害科学)の学位を取得することができました。
私は障害の有無に関わらず、誰もが等しく質の高い教育を受けることができる社会を目指しています。
我が国に先駆けて、インクルーシブ教育の推進を図っている英国の教員養成に学生時代から魅了されていました。
日本ももっとやればできる!教育行政に変革を起こすためには、まず私自身がもっと学ぶ必要があると思い、英国旅を決意しました。
ところが、難聴もある私が一人で英国で情報を得ることは極めて困難なことでした。
そこで、TOEIC800点以上の驚異的な英語力をもち、青年海外協力隊やJAICAでの勤務経験のある全盲の友人に同行を頼みました。
不思議なことに、弱視難聴の私と全盲の彼女との2人旅をする不安は一切なく、わくわく・ドキドキしていました。
この本を執筆する直前に、東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎先生の「リハビリの夜」に刺激を受け、私自身の中に眠る「障害者という規範意識」に着目しながら、この旅記録をまとめることにしました。ぜひ、多くの方に読んでいただき、おそらく皆さんの中にも眠っているであろう「規範意識」を呼び起こし、一緒に考えるきっかけになれば幸いです
- 出版社 : NextPublishing Authors Press
- 発売日 : 2023/3/10
- オンデマンド (ペーパーバック) : 156ページ