【内容情報】(出版社より)
福祉国家の源流が戦時期の総動員体制のために拡張された諸方策にあるのでも、慈善事業を脱皮し大正後期に成立した社会事業の段階にあるのでもなく、明治末期の感化救済事業と呼ばれる時期にあったことを明らかにする。
目次
序章 はじめに
一 問題の所在と視点
二 日本の福祉の歴史
三 本書の構成
四 凡例、研究倫理等について
第一部 福祉行政の創設
第一章 福祉行政の創設と軍事救護法
はじめに
一 軍事救護法の成立過程と議会における議論
二 陸軍省と内務省の法案、施行令の検討
三 陸軍省側の懸念
四 〝福祉〟官僚コミュニティと救護課の創設
五 むすびにかえて
第二章 軍事救護法の誕生と愛国婦人会の定款改正
はじめに
一 定款改正と先行研究の評価
二 軍事救護法と愛国婦人会
三 愛国婦人会の定款改正と軍事救護法
四 むすびにかえて
第三章 軍事救護法と愛国婦人会のジェンダー秩序の強化
はじめに
一 愛国婦人会と山口支部の組織
二 山口支部の活動
三 軍事救護法とジェンダー秩序の強化
四 むすびにかえて
第二部 福祉実践の専門化
第四章 女性の社会進出と社会事業の専門職化
はじめに
一 アメリカの福祉の歴史
二 アメリカ女性史
三 女性の社会進出とソーシャルワーカーの誕生
四 むすびにかえて
第五章 なぜ婦人方面委員は“Female Professional”として成立しなかったのか
はじめに
一 大阪府方面委員制度
二 方面婦人保護委員の構想
三 なぜ方面婦人保護委員制度が提案され、消えたのか?
四 なぜ方面委員は“Female Professional”にならなかったのか?
第六章 社会事業の専門職化と方面委員
はじめに
一 ストラスブルク制度と専門職の成立
二 社会事業の専門職化と方面委員
三 ストラスブルク制度を媒介にした方面委員とケースワーク論
四 むすびにかえて
第三部 社会事業の展開
第七章 山口県社会事業と虎ノ門事件
はじめに
一 虎ノ門事件と山口県
二 山口県社会事業への影響
三 社会教育と社会事業の「教化」をめぐって
四 むすびにかえて
第八章 山口県社会事業協会と婦人方面委員
はじめに
一 山口県社会事業協会方面委員制度の限界と婦人方面委員の登用
二 なぜ婦人方面委員の大量登用が可能だったのか?
三 「虎ノ門事件」と婦人会
四 むすびにかえて
終章 おわりに
引用・参考文献一覧
あとがき
索 引
- 出版社 : 関西学院大学出版会
- 発売日 : 2023/3/31
- 単行本 : 292ページ