Last Updated on 2025年12月22日 by 菅間 大樹

京都のNPO活動を支える、新しい「選択的納税」の仕組みがスタート

特定非営利活動法人きょうとNPOセンター(以下、KNC)は、京都府と協働し、ふるさと納税システムを活用した新たな支援制度「ふるさと×NPO 京どねーしょん(京都府ふるさと応援府民協働推進事業)」を開始しました。この制度を活用し、KNCは2025年から「パートナーシップ・ファンディング・プラットフォーム(PFP)」プロジェクトを始動させます。

「京どねーしょん」は、従来のふるさと納税とは一線を画し、返礼品ではなく「市民活動の基盤強化への投資(選択的納税)」として位置づけられています。これは、寄付する人々が自らの税金の使途を選び、京都の多様な社会課題解決を加速させるための新たな挑戦です。

きょうとNPOセンターと京都府のロゴ

なぜ今、「中間支援」が大切なのか

京都府内では多くのNPOが活動していますが、資金不足や人材不足といった組織運営の課題を抱えている団体も少なくありません。個々のNPOを支援することも重要ですが、それらの団体が活動しやすい「土壌」を整えることが、持続可能な社会を築く上で不可欠です。

KNCは「NPOの中間支援組織」として、長年にわたり多様なNPOの伴走支援を行ってきました。今回のPFPプロジェクトは、この支援機能を社会インフラとして確立し、さらに発展させることを目指しています。

「京都発全国初」のPFPプロジェクト

「ふるさと×NPO 京どねーしょん」は、中間支援組織が主体となって制度設計を担う「京都発全国初」の取り組みです。

  • 中間支援組織が制度の提案および設計を担う。

  • ふるさと納税の仕組みを活用しつつ、返礼品を設定せず、税金の使途を個人が「選べる」選択的納税制度である。

  • KNCは、中間支援機能の強化に加え、多様な社会課題に取り組むNPOと協働するための活動資金プラットフォームとしてPFPを活用する。

  • 本支援システムの適切な管理運営のため、KNCが伴走し、制度を活用するNPOのガバナンス・コンプライアンス・ディスクロージャーの最適化を支援する。

京都の未来を創る「5つのプロジェクト」

皆様からのご支援は、以下の5つの重点プロジェクトを通じて、京都の市民社会全体のレベルアップと課題解決に活用されます。これらのプロジェクトは、様々な立場の人が安心して暮らせる社会づくりに貢献するものです。詳細については、プロジェクトページをご覧ください。
プロジェクトページ

会議風景

1. 中間支援機能を活用した課題解決力の強化および促進

NPOの自立と成長、課題解決力向上を促すため、情報発信や資源仲介、組織基盤強化など、KNCの中間支援機能を活かした伴走支援が行われます。

2. 祇園祭ごみゼロ大作戦の持続的な運営及び組織基盤強化

祇園祭のごみゼロを目指し、KNCや他のNPO、事業者、行政が協働するプロジェクトです。市民参加モデルとして全国展開や政策提言に向けた活動も強化されます。

祇園祭ごみゼロ大作戦

3. DV被害者の“最初の支援者”の育成と普及

DV被害者が適切な支援につながるよう、「相談される側」である市民を“最初の支援者”として育成します。講座や研修を通じて、身近な人が被害者を支援につなげる方法を広め、早期回復を支援します。

相談風景

4. 災害時連携NPO等ネットワークによる災害時に支え合う環境の構築・整備

自然災害の増加に対応し、NPOの専門性や経験を活かし、特別なニーズを持つ被災者(障害を持つ方々など)への支援体制を自治体と連携して構築します。また、被災したNPOとその支援対象者を支える相互協力関係も構築し、平時からの関係性づくりに取り組みます。

災害の様子

5. 「地域ともいきラボ」でのみんなの「やりたい」をインキュベートする場の構築

KNCが事務局を務める「地域ともいきラボ」は、多様なステークホルダーによる社会課題解決のプラットフォームです。今後は、個人の「こうしたい」という思いを具体的な行動につなげるインキュベート(事業育成)的な要素を強化し、ワークショップやプロジェクト立ち上げ支援を通じて、新たな価値創造の場を目指します。

ワークショップ風景

税制上のメリット:税金を「社会への投資」に

本プロジェクトは京都府の「京どねーしょん」を活用しているため、個人・法人問わず、税制優遇を受けながらご支援いただけます。

【個人の皆様:ふるさと納税】

実質負担2,000円で、京都の未来を応援できます。

ふるさと納税控除の仕組み

京都府への「ふるさと納税」として扱われるため、寄付金額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と住民税から控除されます。返礼品はありませんが、税金の使い道を自ら選び、応援したい活動へ確実に届けることができます。京都府内・府外在住を問わず、どなたでもご利用いただけます。

【企業の皆様:企業版ふるさと納税】

寄付額の最大約9割の税額軽減効果があります。

京都府外に本社を置く企業が「企業版ふるさと納税」制度を活用して寄付された場合、損金算入による軽減効果と合わせて、最大で寄付額の約9割が税額控除されます。実質負担約1割で、京都の社会課題解決に貢献できるとともに、企業のCSR(社会的責任)活動として社内外へPRすることが可能です。※本社が京都府内にある企業は、通常の寄付(損金算入による約3割の軽減)となります。

きょうとNPOセンターへのご支援をお願いします

「ふるさと×NPO 京どねーしょん」によるふるさと納税受付は、2026年3月31日(火)までです。2026年1月1日(木)以降の手続きは「税額控除の適用時期」が変わるため、ご注意ください。

支援の仕組み図

この新しい取り組みを通じて、京都のNPO活動がさらに活発になり、誰もが生きやすい、温かい社会が築かれることを願っています。皆様からの温かいご支援を心よりお待ちしております。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77