Last Updated on 2025年12月18日 by 菅間 大樹

中野区の働き方改革への取り組み

中野区は、2024年の区役所新庁舎移転を機に、職員の働き方改革を本格化させています。新庁舎は第38回日経ニューオフィス賞で「ニューオフィス推進賞」と、自治体庁舎として全国初となる「クリエイティブ・オフィス賞」を受賞しており、その先進的な環境整備が高く評価されています。中野区は、性別やライフステージに関わらず働き続けられる環境づくりを目指し、女性管理職比率や年次有給休暇取得率の向上、職員の働き方の見直しを重点施策として掲げています。今回の4宣言への賛同は、こうした取り組みを区全体で加速させるものです。

今後は、幹部層から働き方を推進する研修の実施や、KGI・KPIによる指標設定など、働き方改革を地域や区内へ広げる具体的な取り組みを進めていく予定です。

中野区の4宣言賛同ポスター

中野区長とワーク・ライフバランス代表のコメント

中野区の酒井直人区長は、自治体初となる4宣言への賛同は、区の取り組みをさらに前進させるための強い決意を示すものであると述べました。区民サービスの向上と安定的な提供のためには、中野区が常に「選ばれる」「成長できる」「活躍できる」職場であり続ける必要があるとし、ワーク・ライフバランスや女性活躍推進、健康経営の取り組みが、職員力・組織力向上のための最も重要な施策の一つであると強調しました。

酒井直人区長

株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役社長である小室淑恵氏は、中野区が4つの宣言に賛同したことは、働きやすさと生産性の両立を本気で進めようとする強い意思の表れであると評価しました。新庁舎でのDX推進やフリーアドレス化、部署横断の連携を生む空間づくりなど、中野区がすでに実践している先進的な改革に触れ、今回の賛同によって、改革がさらに加速し、職員がより働きやすく力を発揮できる環境が一層整うことに期待を寄せました。また、その好循環が区民サービスや区内企業へと広がり、中野区ならではの新しい働き方モデルが発展することを願うと述べました。

小室淑恵社長

各宣言と中野区の具体的な取り組み

1. 男性育休100%宣言

この宣言は、男性社員が育児休業を100%取得できる職場づくりを目指すものです。男性の育児休業は、産後うつによる自殺が妊産婦の死因の一位である現状において、命を守る役割も担います。中野区は自治体で10番目にこの宣言に賛同しました。

男性育休100%宣言

これまでの取り組み

  • 特別職を含む全管理職による「イクボス宣言」の実施

  • 「男性職員のための子育て休暇の手引き」の導入

  • 配偶者の出産予定がある場合に「子育て休暇等計画シート」を提出する仕組みの導入

  • 育児休業から復職した男性職員の体験談を庁内周知

今後の取り組み

  • 「男性職員のための子育て休暇の手引き」の全面改訂

詳細はこちらをご覧ください:男性育休100%宣言

2. 勤務間インターバル宣言

この宣言は、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康と生産性向上を目指すものです。中野区は自治体で8番目にこの宣言に賛同しました。

勤務間インターバル宣言

これまでの取り組み

  • 超過勤務の縮減と年次有給休暇推進に向けた通知

  • RPAによる長時間労働者への注意喚起メールの送信

今後の取り組み

  • 勤務間インターバルの考え方を全管理職員(学校長を含む)に周知

詳細はこちらをご覧ください:勤務間インターバル宣言

3. 女性の再就職応援宣言

この宣言は、育児や介護、パートナーの転勤などで離職した女性たちが、再び活躍できる環境を整備し、企業の人材不足解消やイノベーション創出につなげることを目指します。中野区は自治体で5番目にこの宣言に賛同しました。

女性の再就職応援宣言

これまでの取り組み

  • 特別区人事委員会が実施する経験者採用試験・選考の活用

  • 区独自の選考の実施

  • 会計年度任用職員等の採用

今後の取り組み

  • 職員採用サイトのコンテンツ充実(離職女性への訴求力向上)

  • 多様な人材の採用のあり方に関する検討の推進

詳細はこちらをご覧ください:女性の再就職応援宣言

4. 介護離職ゼロ宣言

この宣言は、介護を個人や各家庭が抱え込まずに職場で安心して相談ができ、仕事と介護を両立しながらキャリアも諦めずに活躍できる組織・社会を目指すものです。中野区は自治体で初めてこの宣言に賛同しました。

介護離職ゼロ宣言

これまでの取り組み

  • 介護関連休暇の導入・運用

  • 職務意向申告で介護事情を確認し、所属長面接で配慮事項を確認

今後の取り組み

  • 対象者へのきめ細やかな支援と、ともに働く職員への理解促進

詳細はこちらをご覧ください:介護離職ゼロ宣言

株式会社ワーク・ライフバランスについて

2006年創業以来、企業3,000社以上(自治体・官公庁含む)の働き方改革コンサルティングを手がけ、業績と従業員のモチベーション向上を両立させることに注力しています。代表取締役社長の小室淑恵氏は、安倍内閣「産業競争力会議」民間議員を務めるなど、国政とビジネスの両面から働き方改革を推進しています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77