調査の背景:冬の朝の困難と起立性調節障害
起立性調節障害(OD)は、朝に血圧や体温が上がりにくく、起床や活動開始が困難になることが特徴の疾患です。特に冬は、寒さや日照時間の短さが重なり、起床や行動の切り替えが一層難しくなる傾向があります。この調査は、冬の登校時間の変化、その背景にある要因、そして家庭で求められる工夫を可視化し、起立性調節障害への理解と日常生活での気づきにつなげることを目的に実施されました。
調査サマリー:冬の朝の状況が明らかに
調査結果の主なポイントは以下の通りです。
- 約45%の保護者が「冬は登校時間が遅くなることがある」と回答しました。
- 冬に家を出る時間帯は「7時半〜8時前」が最も多く、次いで「8時〜8時半前」が冬以外の季節と比べて微増しました。
- 登校が遅れる理由としては「布団からなかなか出られない」が最多(31.3%)でした。
- 対策としては「部屋を暖かくしておく」「就寝時間を早める」が上位に挙げられました。
- これらの結果から、冬は寒さと睡眠リズムが登校時間に大きく影響している可能性が示唆されます。
詳細データで見る冬の登校時間の実態
Q1. 冬は、その他の季節と比べて登校時間が遅くなることがありますか?

調査の結果、「ときどき遅くなる」(39.8%)と「よく遅くなる」(5.7%)を合わせると45.5%となり、約半数の家庭で冬特有の登校の遅れが認識されていることが分かりました。一方で、「あまり変わらない」と回答した家庭も51.1%ありました。
Q2. 冬以外の季節で、お子さまが家を出る平均的な時間帯を教えてください

冬以外の季節では、「7時半〜8時前」が47.7%と最も多く、8割以上の家庭が8時前に家を出ており、登校時間は比較的安定している傾向が見られました。
Q3. 冬(12〜2月)お子さまが家を出る平均的な時間帯を教えてください

冬になると、「7時半〜8時前」が47.3%と依然として最多ですが、「8時〜8時半前」が18.3%となり、冬以外の季節(15.6%)と比較してわずかに増加しています。このことから、冬には登校時間が後ろ倒しになる傾向があることがうかがえます。
Q4. 冬に登校時間が遅くなる理由を教えてください

登校が遅れる理由として最も多かったのは「布団からなかなか出られない」(31.3%)でした。次いで「家の寒さで動き出しが遅れる」(19.2%)が続き、寒さに関連する要因が上位を占めています。二度寝(10.3%)や暖房の前から動かない(8.9%)、外が暗くて起きられない(8.6%)といった回答も多く、冬特有の環境変化が起床時や起床後の行動に影響を与えていることが分かります。
Q5. 冬の登校時間に遅れないため、今後取り入れたい対策を教えてください

今後取り入れたい対策としては、「部屋を暖かくしておく」(23.6%)が最も多く挙げられました。次いで「就寝時間を早める」(18.5%)、「起床時間を早める」(12.0%)、「子どもの体調に合わせて柔軟に対応する」(11.6%)、「寝室の温度・湿度を整える」(8.7%)などが続きます。生活リズムの調整や室温環境への配慮など、家庭で実践できる具体的な対策が多く挙げられています。
専門家からのコメント:無理のない工夫が大切

一般社団法人 起立性調節障害改善協会の代表理事である竹田浩一氏は、「冬は気温の低下や日照時間の短さにより、体内リズムが乱れやすくなります。起立性調節障害の子どもは特に、朝に血圧や体温が上がりにくく『起きたくても体が動かない』という状態に陥りがちです。大切なのは、無理に急がせることではなく、環境を整えること。部屋を暖める、就寝時間を少し見直すなど、小さな工夫が朝の負担を軽減します。冬の登校の遅れは“怠け”ではなく、体からのサインであることを、ぜひ知っていただきたいと思います」とコメントしています。
調査概要
- 調査主体: 一般社団法人 起立性調節障害改善協会
- 調査期間: 2025年12月14日〜12月16日
- 調査対象: 小学生〜高校生の子どもを持つ保護者
- 調査方法: インターネットによるアンケート調査
- 有効回答数: 262名
まとめ:冬の朝の困難を理解し、支え合う社会へ
この調査から、冬の朝に子どもが登校に遅れる傾向があること、そしてその背景には寒さや睡眠リズムの乱れ、特に「布団から出られない」「寒くて動き出せない」といった身体的な要因が大きく影響していることが明らかになりました。これは、冬の朝の困難が子どもたちの「怠け」ではなく、体からのサインである可能性を示唆しています。
家庭でできる対策として、部屋の保温や就寝時間の調整などが挙げられており、無理のない範囲で環境を整えることが重要です。子どもたちの朝の負担を軽減するためには、周囲の理解と適切なサポートが不可欠だと言えるでしょう。この調査結果が、起立性調節障害への理解を深め、子どもたちが安心して学校生活を送れる社会の実現につながることを願います。
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