Last Updated on 2025年12月17日 by 菅間 大樹
万博レガシーを次世代へ繋ぐ取り組み
大阪・関西万博では、閉幕後の施設・建材・設備・備品のリユースを推進する「万博サーキュラーマーケット ミャク市!」を通じて、産業廃棄物の削減とサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。錦城護謨も、万博閉幕後のリユースを当初から想定しており、万博で培われた技術や取り組みを次世代に継承する「万博レガシー」の実現、そして教育現場における合理的配慮の推進を目的として、今回の寄贈・設置に至りました。

身体感覚による歩行を育む教育現場での活用
視覚支援学校では、児童・生徒が将来的に白杖を用いた歩行へ円滑に移行できるよう、足裏の感覚や空間認知といった「身体感覚による歩行」を重視しています。そのため、校内では白杖を常用しない環境づくりが行われています。今回の寄贈では、こうした教育現場の考え方を踏まえ、学校長や教職員の要望をもとに、児童・生徒が日常的に行き来する廊下や職員室周辺に歩行誘導マットなどが配置されました。

学校関係者からは、「職員室内や廊下に歩導くんガイドウェイ等が設置されたことで、通路が狭く机が張り出した環境でも、安全に移動できるようになった」「通行の流れが明確になり、幼稚部から高等部までの児童・生徒に加え、弱視・全盲の教職員にとっても、日常の移動がよりスムーズになった」といった声が寄せられています。

再利用可能なユニバーサルデザインの誘導路
寄贈された「歩導くんガイドウェイ」は従来の点字ブロックと同じサイズ幅のゴム製誘導マットで、「ガイドレット」はスティック型の誘導ラインです。いずれも既存の床面に貼って剥がして再利用できるタイプであり、床面を傷つけることなく設置・回収が可能です。今回の寄贈にあたっては、万博の現場で使用された製品を一枚ずつ丁寧に回収・清掃した上で、教育現場の環境に配慮しながら再設置が行われました。清掃工程の一部は、錦城護謨と同じ大阪府八尾市に拠点を構える就労継続支援A型事務所「はばたき作業所」に依頼され、丁寧なメンテナンスが施されています。

「歩導くんガイドウェイ」は、視覚障害者の歩行を安全に誘導する屋内専用のゴム製マットです。白杖で叩いたときの音や足裏の感触で目的地まで導くことができ、表面は凹凸が少なく、なだらかな傾斜により、視覚障害者だけでなく、車いす利用者や高齢者、ベビーカー利用者もスムーズに移動できるユニバーサルデザインが特徴です。両面テープで簡単に設置でき、既存の施設にも柔軟に対応可能です。
導入実績によると、これまでに1200か所以上(https://guideway.jp/settijisseki/)に導入されています。

合理的配慮が当たり前となる社会へ
2024年4月の「障害者差別解消法」改正により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。視覚障害者をはじめ、すべての人が快適に移動できる環境を整備することは、社会全体で取り組むべき重要な課題となっています。錦城護謨の製品は、万博という大規模イベントでの使用実績を踏まえ、単なる資源循環にとどまらず、誰もが暮らしやすい社会づくりへの意識醸成の“きっかけ”としても活用されていくことが期待されています。

「歩導くんガイドウェイ」のWebサイトはこちら:
https://guideway.jp
錦城護謨株式会社について
創業89年を迎える錦城護謨株式会社は、国内で高いシェアを誇る家電製品のゴム部品製造に加え、2025年の大阪・関西万博の会場となる夢洲の地盤改良工事にも携わりました。創業以来培った技術力を基に、自動車、スポーツ用品、食品関係、医療機器など多様な分野で活躍し、大手メーカーのパートナーとして人々の暮らしを支えています。
近年では、福祉関連事業にも注力し、「歩導くんガイドウェイ」をはじめとする視覚障害者用歩行誘導マットの製造販売や、割れないゴムのグラスで話題の自社ブランド「KINJO JAPAN」での新製品開発を通じて、世界展開にも挑戦しています。

会社概要
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企業名:錦城護謨株式会社(読み:きんじょうごむ)
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代表者:代表取締役社長 太田泰造
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創業:1936年5月
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事業内容:工業用ゴム部品の生産・販売、軟弱地盤改良工事(設計・施工・管理)、視覚障害者歩行誘導マットの製造販売・施工、自社ブランド「KINJO JAPAN」での新製品開発事業など
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Webサイト:https://www.kinjogomu.jp


