就労継続支援A型事業所に求められる二つのニーズ
利用者が事業所に希望する「働く形」について尋ねたところ、最も多かった回答は「安定して通える場」(約78%)でした。次いで、「将来の就職希望」(約59%)が挙げられ、利用者が「安心して働き続けられる居場所」としての機能と、「将来的な自立に向けた訓練の場」としての期待の双方をA型事業所に抱いていることが分かります。
これは、一人の利用者の中でも「まずは安定して通い、その先にステップアップを目指したい」という段階的なニーズがあることを示唆しています。
心理的安全性が鍵となる職場環境
利用者の「安定して働きたい」というニーズに対して、事業所側はどのような環境を提供しているのでしょうか。事業所で提供している作業や職場環境の特徴を尋ねたところ、「配慮がある人間関係」が約66%と最も多い回答となりました。

障害のある方の離職理由として人間関係の悩みが挙げられることが多い中、A型事業所ではスタッフや利用者同士の理解に基づいた「環境調整」が重視されており、これが就労継続を支える基盤となっていることがうかがえます。
「雇用」と「福祉」を両立させる現場の工夫
A型事業所は利用者と雇用契約を結ぶため、「福祉的な視点」と「生産活動を通した収入」のバランスを保つことが求められます。アンケートの自由記述からは、利用者に最適な支援を模索する現場の多様な声が寄せられました。
例えば、「安定して働ける職場環境を作り、個々の作業能力に応じた作業を提供している」(石川県)や、「希望する勤務時間に合わせシフトを組んでいる。時差出勤や週3回からの利用も可能」(宮崎県)といった声がありました。また、「利用者の方一人ひとりと、デジタルツールを使った連絡やノート交換を行っている」(富山県)や、「独自の商品開発を行っている」(北海道)など、きめ細やかな配慮や独自の取り組みも見られます。
これらの声は、単に作業をこなすだけでなく、一人ひとりの特性(得意・不得意)を見極め、環境側を調整することによって能力を発揮できるよう支援している様子を伝えています。
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利用者と事業所のより良いマッチングのために
今回の調査から、就労継続支援A型事業所は「心理的安全性の高い居場所」でありながら、「社会参加へのステップアップ」を目指す場でもあるという、多面的な役割を果たしていることが分かりました。「安定」と「ステップアップ」は相反するものではなく、配慮のある環境(居場所)があるからこそ、次のステージへ挑戦できる関係にあると言えるでしょう。
一方で、「一般就労への移行」に力を入れているのか、「長期的な安定就労」を重視しているのかといった方針は、各事業所によって異なります。重要なのは、利用者の現在の状況やニーズに合う事業所を見つけることです。
LITALICO仕事ナビは、「障害のない社会をつくる」というビジョンの実現に向け、障害者雇用の現場にある課題やその解決策について社会に広く発信し、全ての企業や働く人と共に考えていくとしています。
調査概要
- 調査名: 就労支援の取り組みと課題に関する調査【LITALICO仕事ナビ】
- 調査期間: 2025年5月20日〜2025年6月10日
- 調査対象: 全国の就労支援事業所(就労移行支援、就労継続支援など)
- 回答数: 338事業所(うち、就労継続支援A型サービスを提供する68事業所に絞って分析)
- 調査方法: インターネット調査
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