Last Updated on 2025年12月24日 by 菅間 大樹

開催の背景:子どもの成長をトータルで支援したい

イベントが開催された日本原病院では、お子さま向けの言語リハビリテーションや発達検査、カウンセリングを実施しています。また、参加したクリニックの看護師も、日常的に乳幼児健診や予防接種、小児科診療で多くの子どもたちと関わっています。

こうした中で、近年指摘されている「子どもの基礎運動能力の低下」という社会課題や、保護者から「体の動かし方についても相談したい」というニーズが感じられていました。そこで、普段は言語や心理面、身体の健康をサポートしている専門職が連携し、「心と言葉」だけでなく「体(運動)」の側面からも子どもの成長をトータルで支援したいという想いから、このイベントが継続して開催されています。

イベントの特徴:家庭でできる工夫と専門的な視点

「あそびチャレンジ2025」の最大の特徴は、高価な運動機器を使用せず、「家庭でできるあそび」を重視したプログラム構成にあります。

「これなら家でもできる!」100均グッズを活用

「内臓パズル」や「くもの巣チャレンジ」など、今回実施された5つのプログラムは、スズランテープや段ボール、100円ショップの小物といった身近な素材を使ってスタッフが手作りしました。「特別な機械がなくても運動できる」というメッセージを伝え、家庭でも継続して運動に取り組めるような工夫が凝らされています。

幼い男の子がテーブルで何かに集中して取り組んでいます。プラスチックの袋やコップ、ストローを使い、周りにはマーカーやテープディスペンサーなどの画材が見えます。

室内で子供たちが大人たちと楽しそうに遊んでいる様子。一人の男の子がボールを投げ、逆さにした傘を的にしている。他の子供も飛び跳ねたり、色とりどりの踏み台の上を歩いたりしており、活気あふれる遊びの光景です。

遊びの中に隠された「医学的意図」

一見するとただの遊びのように見えますが、それぞれの動きにはリハビリテーションの専門職が考えた「体の動かし方」の意図が込められています。参加した保護者からは、「それぞれの運動にどのような意味があるのか具体的に説明があり良かった」と好評でした。

マスクを着用した2人の女性スタッフが室内にいる。1人が「カードめくり」という活動の説明が書かれた黄色の看板を持っている。保護者向けのメッセージも含まれており、施設内でのアクティビティや説明会の様子。

「いつものスタッフ」がいる安心感

イベントには、普段の検診や予防接種で子どもたちが顔を合わせるクリニックの看護師や、言語リハビリテーションを担当するスタッフも参加しました。子どもの対応に慣れたスタッフが、子どもたちの「できた!」という喜びを全力で褒めてサポートすることで、人見知りのお子さんや発達に不安のあるお子さんも安心して参加できる環境が整えられました。

教室のような場所で、マスクを着用した女性が、机の上で顔のパーツを組み合わせるパズルや知育玩具で遊ぶ幼い女の子を優しく見守り、サポートしている様子を捉えた画像です。

白いマスクとワインレッドの医療用スクラブを着用した女性が、屋内で優しい笑顔を見せています。医療現場やクリニックでの一コマを捉えたもので、明るい雰囲気が伝わります。

参加者アンケートで満足度100%を達成

参加者アンケートでは、回答者全員が「満足」または「非常に良かった」と回答しました。寄せられたコメントには、「スタッフの方々がとても優しく、色々な遊びを子どもたちが楽しんでいた」「手作りで工夫されており、子どもへの声掛けも自然で良かった」「工作が入っていたプログラムも、落ち着ける時間となり良かった」といった声がありました。

今後の展望:地域に寄り添う継続的な支援へ

今回の成功を受け、社会医療法人清風會は次年度の開催回数を増やすことを検討しています。イベントでの単発的な関わりだけでなく、家庭での継続的な取り組みへつなげられるよう、リハビリ専門職による相談ブースの設置など、地域の親子に寄り添うコンテンツの拡充を目指しています。

医療従事者と思われる12人が、ユニフォームとマスク姿でピースサインをして集合写真を撮っている様子です。明るい雰囲気で、チームワークの良さがうかがえます。

社会医療法人清風會について

社会医療法人清風會は岡山県津山市に位置し、家庭医療とリハビリテーションを軸に、病院、診療所、介護施設などの医療・福祉サービスを提供しています。「住み慣れたまち。ここで、一緒に、自分らしく。」という法人理念のもと、地域に密着した「医療と介護の新しいカタチ」を目指し、患者さんや利用者さんが自分らしく生きていくための「自律の支援」を行っています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77