Last Updated on 2025年12月17日 by 菅間 大樹
調査から見えた家庭の現状
今回の調査には、発達特性(診断あり・未診断グレー含む)のある子を育てる保護者134名(母親108名、父親21名、その他5名)が協力しました。2025年10月2日から10月31日の期間に行われたこのインターネット調査では、多くの保護者の切実な思いが明らかになりました。
母親の負担と父親の戸惑い
調査結果から、母親の76.0%が「自分だけが抱え込んでいる」と感じていることが浮き彫りになりました。具体的な理由としては、「子どものこだわり・癇癪対応(46.3%)」、「パートナーとの考え方の違い(35.2%)」、「自分の時間が持てない(30.6%)」などが挙げられています。

一方で、父親からは「どう接すればいいかわからない」「任せきりで申し訳ない」「仕事で関われないことに罪悪感」といった声が寄せられ、関わりたい気持ちはあるものの、迷いや戸惑いが強い様子が伺えます。この結果は、夫婦間で協力したいと思いながらも、うまくかみ合わない家庭の姿を示しています。
子どもの発達を後押しする要因と停滞させる要因
子どもの発達が進みやすいと感じる時として最も多かったのは、「安心できる環境(78.3%)」でした。次いで「好き・得意の活用(62.7%)」、「養育者の余裕(50.7%)」が続きます。これは、家庭の温かい雰囲気と、子どもの個性を尊重する関わりが成長に大きく影響することを示唆しています。

反対に、子どもの発達が停滞しやすいと感じる時としては、「養育者の疲労・ストレス(82.8%)」、「特性に合わない環境(76.1%)」が上位に挙がりました。家庭内の負担や環境が、子どもの育ちに直接影響している実態が確認されています。

家庭の安心をつくる3つのヒント
今回の調査結果から、『自閉症総研ホルン』は家庭の安心を整えるための3つのヒントを提案しています。これらは、日々の生活の中で実践しやすい、小さな協力の積み重ねです。
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「決めつけない・否定しない」関わりを心がける(主に父親)
母親からは「怒らずに接してほしい」「できない日もあることを理解してほしい」といった声が多く寄せられました。父親がまず「否定せず受け止める」姿勢を持つことで、家庭全体の安心感が大きく高まるでしょう。 -
1日5分だけでも「関わりの時間」を意識してつくる(主に父親)
母親が父親に最も望むこととして、「子どもと過ごす時間を増やしてほしい(44.4%)」が挙げられました。たとえ短い時間でも、父親が積極的に子どもと関わる時間を持つことが、家庭の安心の土台となります。 -
子どもの「好き・得意」を活用する(父・母双方)
発達が進みやすい条件の2位である「好き・得意の活用」は、親子にとって実践しやすい関わり方です。子どもの興味や関心に寄り添って一緒に活動することで、子どもは安心感を覚え、保護者自身も関わりやすくなります。
完璧でなくていい、あなたらしい子育てを応援します
この調査は、発達特性のある子を育てる多くのご家庭で見えない頑張りがあることを改めて示しました。同時に、母親の抱える負担、父親の戸惑い、そして「疲労・ストレス」が子どもの発達に大きな影響を与えることも浮き彫りになりました。
完璧な子育てを目指す必要はありません。小さな理解と協力が積み重なることで、子どもたちは一歩ずつ前に進んでいくことでしょう。今回の調査が、多くのご家庭の「安心の一歩」につながることを願っています。
調査結果の自由記述など詳細については、『自閉症総研ホルン』のウェブサイトで公開されています。
- 調査結果詳細: https://horn2020.com/13132/
『自閉症総研ホルン』とは?

『自閉症総研ホルン』は、自閉症のお子さんの「できた!」を増やし、子育てを明るくするためのウェブサイトです。正しい理解と知識をもって、脳を育ててできることを増やすことをモットーに、情報を提供しています。
主宰の今川ホルン氏は、発達科学コミュニケーションマスタートレーナーであり、臨床心理学修士、公認心理師の資格を持つ専門家です。自閉症のお子さんを持つ母親としての経験も活かし、家庭での声かけが子どもの成長を促すと確信し、活動されています。
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今川ホルン氏Instagram: https://www.instagram.com/horn.imakawa/
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書籍・メディア掲載情報: https://horn2020.com/hornmedia/

株式会社パステルコミュニケーションは、「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指し、国民運動「健やか親子21」応援メンバーとして活動しています。


