障がい者就労支援の新モデル:VR訓練と実社会経験で“自立”をサポート

埼玉県鴻巣市にある障がい者就労支援事業所「夢工房翔裕園」では、2010年より障がい者就労支援サービスを提供しており、利用者一人ひとりのニーズと能力に応じた“自立”の実現を目指し、多角的な就労支援プログラムを展開しています。

この取り組みでは、VR(仮想現実)を用いたソーシャルスキルトレーニング(SST)や施設内外での就労訓練を組み合わせることで、働くために必要な行動、判断、コミュニケーション能力の向上を図っています。

VR訓練と施設内外就労を組み合わせた自立支援モデル

利用者ニーズに基づく就労支援と“自立”の捉え方

夢工房翔裕園の就労支援は、「自立は一人ひとり異なる」という考え方を軸にしています。そのため、利用者の希望や得意分野、生活状況を丁寧に把握したうえで、“その人にとっての自立”を実現するための個別訓練が提供されています。

VR・施設内外就労・企業実習を組み合わせた支援プログラム

今回の取り組みでは、以下の4つの手法を柱として就労訓練が実施されました。訓練の中で生じた課題には随時対応し、次の計画へとつなげるPDCAサイクルが継続的に運用されています。

  • VRによるソーシャルスキルトレーニング(SST):報連相や働く上での基本行動を、疑似体験型で学習するプログラムです。

  • 施設内就労:慣れた環境で、作業遂行力や報連相の基礎を実践的に習得します。

  • 施設外就労(企業での職場体験):慣れていない環境に出ることで、状況把握力、判断力、相談行動を身につけます。

  • 施設外実習(企業実習):企業現場で、日々の訓練成果を実際の職務の中で発揮するステップです。

VRを活用したソーシャルスキルトレーニングや施設内外での様々な就労支援活動

VR学習と就労訓練を連携させた実施内容

プログラムは以下のような流れで実行されました。

  • Step1:VR視聴 → 訓練への落とし込み
    学んだ行動パターンや対処法を、日々の訓練で実践します。

  • Step2:施設内での報連相の実践
    慣れた環境で“できること”を積み重ね、成功体験を形成します。

  • Step3:施設外での報連相の実践
    普段と異なる環境でも適切な相談行動が取れるかを確認します。

  • Step4:企業実習での最終確認
    習得内容が実際の職務で活かせているかを実地で評価します。

理解度確認と変化の可視化による効果検証

訓練の効果測定として、以下の方法で確認が行われました。

  • VR視聴後の理解度チェック
    行動理解・知識の定着を確認します。

  • 施設内・施設外での報連相の振り返り
    繰り返し取り組むことで、“いつもと違う状況に気づき、相談できる”利用者の姿が増えました。

  • 企業担当者との振り返り面談
    企業視点での評価を取り入れ、今後の訓練改善に活用します。

VR活用・企業実習を通じた利用者の変化

取り組みを通じて、以下の成果が確認されています。

  • VRによるSSTを通じて自分で考えて行動する力が向上しました。

  • 挨拶、姿勢、報連相など“働くための心構え”が形成されました。

  • 施設外での模擬就労が可能になり、環境変化への適応力が向上しました。

  • 就職という目標を達成した利用者もいます。

夢工房翔裕園が目指す自立支援のあり方

夢工房翔裕園では、食品製造(餃子作り)や農園活動など、訓練で使用する作業そのものも“自立のためのツール”として位置づけています。“自立”の形は利用者によって異なります。だからこそ、「日々の小さな成功体験」「自分で気づき、相談し、行動できる力」「実社会での経験」を積み重ねることで、利用者一人ひとりが描く未来へ近づく支援を継続していく方針です。

夢工房の活動が訓練ツールであり、利用者の自立の形は多様であること、そして可能性は無限大であることを示すスライド

施設情報

就労継続B型・相談支援事業所 夢工房翔裕園

職員募集について

夢工房翔裕園では、職員を募集しています。採用情報はこちらのリンクからご確認ください。
https://yumekobo-mugendai.jp/

社会福祉法人元気村グループについて

社会福祉法人元気村グループは平成5年に埼玉県鴻巣市に開園しました。「共に生きる」を共通理念に8つの社会福祉法人を展開しています。利用者の「生きがい」まで追求し、「感動介護」を実現しています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77