Last Updated on 2023年6月28日 by 菅間 大樹

【内容情報】(出版社より)

ー令和4年・秋ー

私にとって非常に衝撃的な出来事が起こった。

それはTwitterでのこと。

偶然か必然か、そのツイートは私のもとへ流れてきた。

ツイートの内容を見て驚愕した。

「今までありがとう。もう悩みたくない」というような文面と共に添えられていた2枚の写真。

1枚目は、どこかのダム。

2枚目は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断書。

私からしたら、その時初めて知った、会ったこともなければ関わったこともない人。

でも気になって仕方がなかった。

すぐに過去のツイートも見た。

様々な美しい自然と共に写る一人の若い男性。

楽しそうな中にも寂しさが見え隠れしていた。

大好きなバイクで、日本一周していたようだった。

戻ってみるとコメント欄が荒れていた。

「ダムの中継が切れた」

「警察に連絡しなきゃ」

「現地に向かってみる」

「そんなことしちゃだめだよ、生きて」

、、、命がひとつ消えてしまった瞬間だった。

2枚目の写真がなければ、私も一般論を振りかざし「生きて」と願っていたかもしれない。

でもそうは思えなかった。

無責任に”生きなさい”と言えるほど、簡単な問題ではないから。

「今まで辛かったね。頑張ったね。

でも、やりたかったことがやれたみたいで良かった。お疲れ様」★

驚きの書き出しで始まる本書。

平成29年に私は発達障害である注意欠陥障害(ADD)と診断されました。

正直、何度もこの男性と同じことを考えました。

でも私が選んだ道は、「生きる」こと。

逃げることは簡単だけど、向き合うことに決めたからこそ見えてきた世界がありました。

挑戦と失敗を繰り返す中で見える世界がありました。

向き合う中で出会ったのが『障害受容過程』

脊椎損傷における身体的な障害に対する受容として提唱されたものですが、身体的なものだけではなく、発達障害に関しても同じことが言えるのではないかと気づきました。★

告知されてから、どのような過程をたどって小害を受け止めることができるかということ。

この障害の受容は、1980年に上田敏氏によって「あきらめ」ではなく「価値の転換」であると発表された。

身体的な障害に対する心理的な変化として提唱されたものだが、自身の発達小害に対する受容過程を当てはめると、重なる部分が多々あったのだ。

これらを順番にすいすい進んでいくわけではない。

進んだり戻ったりを何度も何度も繰り返しながら、少しずつ進んでいく。

わたしの場合、①ショック期から⑤受容期までおおよそ7年かかった。

1番長かった期間は、④解決への努力期である。

いまでこそ、「療育」という言葉が浸透し、小さい頃から支援を受けられる体制が整ってきている。

自分も小さい時に診断がついて支援を受けていたら、違う人生を生きていたのか?とふと考えたことがある。

わたしが今までしてきた血と涙のにじむような努力は、『普通になりたい』という強い思いがあったからこそ出来たもの。

もし、よくわかっていない子どもの頃に、「あなたは小害者。出来ることと出来ないことがあるけど、それでいいのよ」と言われて育っていたら。

こんなに辛く苦しい思いは、しなくてよかったかもしれない。

けれど、定義の曖昧な『普通』にこだわり続け、がむしゃらに努力した自分は存在していない。

大人になって診断を受けたからこその、私のような葛藤や経験は貴重なものになるという考え方もできることに気が付いた。

私が格闘した証を残しておかなきゃ!

そう思い立った。

『小害受容過程』をわたしの実体験に基づき記したものが本書であり、わたしのデビュー作だ。

7年分全てを記すとなると、1冊には到底おさまらない。

私の創作活動をメインにその中での小害受容過程を紹介したい。

診断を受けてからのうつ体験。

ボタンさえ付けられなかった裁縫不得意なわたしが、ハンドメイド沼にはまったきっかけ。

ハンドメイド作家になりたいと思ったきっかけ。

挑戦と失敗を繰り返して気付いたこと。

周りの環境が変わっていく度に感じた違和感

私にしか伝えられない話をあなたに聞いてほしい。

私にしか経験出来ないことが、誰かの役に立つのなら…

そんな思いで執筆しました。

世の中に出回っている特性についての情報だけでなく、支援ゼロで大人になった発達障害当事者が直面した問題と、それに立ち向かっていったリアルな実体験が書かれています。

発達障害者の方だけでなく、その家族や支援者にも参考になる内容となっており、様々な角度から『発達障害』について考えることができます。

また、難しい専門用語を出来るだけ使わずに補足説明を加えながら分かりやすく書いているため、発達障害について初めて学ぶ方にもおすすめです。

発達障害と定型発達の間にある大きな壁を取っ払うべく、まず出来ることは、お互いを知ること。

あなたの第一歩のお手伝いが出来ることを願っております。

【目次】

はじめに

読んでくださるあなたへお願い

第一段階 ショック期

①初めて自分で自分を疑った時

②『もう手に負えない』

第二段階 否認期

①発達小害の診断

②コンサータを飲んで初めて知ったこと

第三段階 混乱期

①私に突きつけられた現実

②鬱状態突入

③過去の人間関係整理

④とにかく自分を知りたい

コラム★ハンドメイドにはまったきっかけ

⑤ゼンタングル®️メソッドとの出会い

⑥タティングレースとの出会い

⑦ハンドメイド作家になる決意をした出来事

⑧屋号に込められた想い

第四段階 解決への努力期

①ネットショップへの挑戦

②委託販売への挑戦

③ビジネスとしての挑戦

④イベントへの挑戦

⑤人間関係はラスボス

⑥オーダーメイドはやり方次第?!

第五段階 受容期

①脳の中の余白

②私に起こった奇跡

③知らなかった世界の扉

④ありのままが1番美しい

おわりに

ここまでお読みいただいた皆様へお願い

【著者紹介】

竹辺真波(たけべまなみ)

1989年8月28日生まれ

青森県八戸市(本のまち八戸)在住。

2016年12月に青森県八戸市に「八戸ブックセンター」という全国でも前例がない自治体が運営する書店がオープン。

地元の小・中学校、県立高校を卒業し、看護専門学校へ進学。

第100回看護師国家試験を200点/250点で合格。

平成27年 自分で自分の発達障害を疑い始める。

平成29年 注意欠陥障害(ADD)診断。

通院を欠かさず、薬物治療(現在はコンサータ72mg)を5年間続けている。

二次障害としてうつ病発症。

うつから救ってくれたのが、タティングレースとゼンタングル®️メソッド。

『Shining Brain ~シャイニングブレイン~』として活動を始める。

令和5年5月

創刊45周年、有名人気ファッション雑誌『MORE』にてShining Brainのネックレス掲載。

作品を生み出す喜びを知り、誰にも真似できない芸術家になる夢を持つようになっていく。

本書の執筆とともに受容もさらに進み、発達小害グレーゾーンの発信を始める。

日本の発達支援がアメリカに近づくこと、さらには地方の発達支援が整い、苦しむ人が一人でも少なくなることを願って、活動することを決意する。

  • 出版社 ‏ : ‎‎ Independently published
  • 発売日 ‏ : ‎2023/5/23
  • ペーパーバック ‏ : ‎135ページ

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。