Last Updated on 2023年8月1日 by 菅間 大樹

アスペルガー症候群の方が就職を考えるとき、向いてる仕事(適職)は何か、人間関係の様子はどうか、といったことに不安を抱える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

また一度就職した場合でも、自分に向いていないと思ったら無理をせずに転職を考えてみることも一つの方法です。その際、自分に向いている仕事を見つけるためには、業界や職種ごとの特徴を知ることはもちろん、自分にとって大切なこと、避けたいことを把握することが重要です。

そこでアンブレでは、アスペルガー症候群の方で働いた経験のある方136名の口コミを分析しました。

アスペルガー症候群の方が実際に仕事をして感じたこと、就職や転職の際に気をつけるべきことなどを具体的なコメントを交えながら、分析結果を紹介していきます。

自分に向いている仕事探しや転職を考える際のヒントとして、是非参考にしてみてください。

現在、アスペルガー症候群については以下のように自閉スペクトラム症と表現されています。

これまで、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていましたが、2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)としてまとめて表現するようになりました。

▼参考:e-ヘルスネット ASD(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

ASDの特徴は広範囲であるため、このコラムでは、ASDの中でもアスペルガー症候群の特徴がある方の回答に焦点を絞り、仕事の悩みとその解決策を紹介していきます。

目次

  1. アスペルガー症候群の方の職場に対する満足度
  2. アスペルガー症候群の方にとって満足度が高い職場とは
  3. アスペルガー症候群の方にとって満足度が低い職場とは
  4. アスペルガー症候群の方におすすめの業界
  5. アスペルガー症候群の方におすすめの職種
  6. アスペルガー症候群の方の転職活動の進め方
  7. まとめ

1.アスペルガー症候群の方の職場に対する満足度

※アンケート「あなたはその会社の就労環境に満足していますか?」を集計して割合を抽出

アスペルガー症候群の方136名に「職場に対する満足度」について聞いたところ、

とても満足している 12%
満足している 31%
両方を合計した「満足している方」の割合は43%でした。

対して、

満足していない 23%
全く満足していない 15%
両方を合計した「満足していない方」の割合は38%でした。

全体としてみると、職場に対して満足している方の割合がやや高い結果となりました。

2. アスペルガー症候群の方にとって満足度が高い職場とは

「職場に満足している」と回答した人は、どのような点に満足しているのでしょうか。上記のアンケートにて「とても満足している」「満足している」と回答した人に、その理由を聞きました。

※アンケート「あなたが答えた満足度について理由を教えてください」を分類しプラス評価している内容を集計して割合を抽出。7名未満の少数回答は除く。

2-1 満足度が高いと感じる1番の理由は「病気や障害に対して理解がある」

アスペルガー症候群の症状は多様であり、特性に個人差がありますが、一般的には以下のような傾向がみられると言われています。

【アスペルガー症候群の方の特性や傾向】

  • 社会的関係の構築が難しい
  • 言語コミュニケーションが苦手(あいまいな表現を理解することが苦手)
  • 決められた手順や自分の興味ある事柄にこだわりがあり、臨機応変な対応が難しい
  • 文字や図形、物に対する関心が強い
  • 音や気温などの感覚刺激への敏感さがある
  • 記憶力に優れている

職場の方が、このようなアスペルガー症候群の特性について理解しているというのは重要なことです。実際に働いている方々は、どのような場面で職場に理解してもらうことの必要性を感じたのでしょうか。アンケートのコメントから具体的な意見を見てみましょう。


アスペルガーはこだわりが強く、印字が真ん中になっていないと直す、カッターの位置がずれていたら、機械を動かしながら直す、結果として作業の開始が遅くなることがたびたびである。
専門商社、軽作業、女性

コミュニケーションが上手く取れないため指示を違うように解釈してしまう。
金属・鉄鋼、軽作業、男性

疲れやすい。必要な音を選べず、全部の音を聞いてしまう。聴覚過敏である。感情を我慢するとしんどくなる。
メーカー・製造系、介護、女性

職場に対して満足している理由で最も多かった「病気や障害に対して理解がある」については、このようなアスペルガー症候群の特性への理解が、職場の満足度を左右していると言えるのではないでしょうか。

それでは、「病気や障害に対して理解がある」職場とは、具体的にどのような職場なのでしょうか。アンケートのコメントを見ていきましょう。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。